軽の新王者・ホンダN BOX。人気の理由は「広さ」と「カッコよさ」の両立

週プレNEWS / 2012年10月12日 6時0分

軽自動車の新王者・ホンダN BOX。驚異的な室内空間と、真四角なんだけど存在感のあるルックスを両立させている

何年間も膠着(こうちゃく)状態だった軽自動車(以下、軽)市場が、ここ1年で大きく動いている。

以前は、「王者ワゴンR(スズキ)をムーヴ(ダイハツ)が追って、そこにタント(ダイハツ)がからむ」という構図だったが、昨年12月に発売されたホンダN BOX(エヌボックス)が、今年の春からトップを独走。さらに2位は、これまた新勢力のミライース(ダイハツ)。その下の3位にやっとワゴンRやタントという順位になっているのだ。

スライドドアで全高1.8m弱のN BOXは、ジャンルでいうとタントなどと同じ「大容量軽」。最安で124万円の値段も大容量軽の平均値で、ワゴンRなどよりおおよそ10万円ほど高い。つまりN BOXは割高ではないが、流行のデフレ商品でもない。

それに、N BOXは燃費でも特別に目立つ存在ではない。自然吸気のFF車で22・0~22・2km/L(JC08モード)。このサイズで20km/L超えは十分にスゴイが、トップ争いはもはや20km/L台後半。N BOXが発売後、1年もたってない最新鋭モデルだと考えると「燃費は意外にフツーだな」の感は否(いな)めない。

このように値段や燃費ではあくまで平均的なN BOXのスゴサは、なんといっても室内の広さだ。それはもう異次元レベル。現行タントを初めて見たとき「これ以上広くするのは物理的に不可能じゃない?」と思ったが、N BOXはついにその上をいってしまった。

N BOXの室内長はタントを2cmリードする。「たった2cm?」と言うなかれ、ボディをビタ1mmも大きくできない軽にとって、2cmの拡張は驚異的な技術力が必要とされる。しかも兄貴分のフィット譲(ゆず)りのセンター燃料タンクのおかげで、トランクの床もズドーンと低い。「いくら室内が広くても、フル乗車すると荷物は積めない」という軽の常識をも覆(くつがえ)している。

そしてさらに、ほとんど工夫の余地がないくらい真四角なシルエットなのに、何はなくとも自動車に見えるようにしたN BOXにはデザイナーの苦労がしのばれる。タントのデザインは「ほとんど電車?」だから(それはそれで面白いけど)、「驚異的に広いのに、ギリギリでクルマっぽく見える」ところがN BOX最大の魅力なのだろう。

軽の新王者・N BOXのバカ売れ要因は、ずばり「広くてカッコいい」こと。軽の常識を突き抜けた広さと、ルックスを両立させているところが、ホンダのすごさなのだ。

(取材・文/佐野弘宗、撮影/岡倉禎志)

■週刊プレイボーイ43号「ワゴンR VS N BOX 軽自動車“箱モノ頂上決戦を制するのはどっち?」より”



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