イー・アクセス買収でソフトバンクがつながりやすくなる?

週プレNEWS / 2012年10月10日 6時0分

モバイルWi-Fiルータを扱うイー・アクセスの買収で、SBMの長年の弱みだった“つながりにくさ”は解決するのか?

10月1日、国内携帯電話第3位ソフトバンクモバイル(以下、SBM)による同4位イー・アクセス買収が電撃的に発表された。

これにより、SBMはイー・アクセスの持っていた周波数帯を取得。一気に同1位NTTドコモや同2位KDDI(以下、au)並みの帯域数と容量を獲得したのである。

SBMがこの大型買収に踏み切るきっかけとなったのは、発表会見で孫正義社長自身が発言したように、iPhone5でのテザリングを実現させるためだった。

9月21日に発売されたiPhone5、SBM版はまだテザリングサービスを開始できていない。それは同社が持つ帯域数がドコモやauに比べて少ないことに加え、既存回線がすでに飽和状態にあるからだ。

だが、これにSBMのiPhone利用者が大反発。5への買い替えを機にauへ乗り換えたり、孫社長のツイッターに不満を訴えるユーザーが続出した。そこで起死回生策として、以前から検討していたイー・アクセスの買収を一気に進めたというわけだ。

結果、SBMは5つの周波数帯をゲット。それに伴い、将来的な回線混雑解消のめどが立ったとして、来年1月からのテザリングサービス開始を今年12月へ前倒しすることを発表した。

携帯電話ライターの佐野正弘氏が、今回の買収劇がもたらす具体的効果を解説する。

「一から立ち上げるのではなく、イー・アクセスの既存通信網を統合するわけですから、SBMとしては新たな帯域でのインフラを整備しやすい。都市部での回線混雑はかなり緩和されるでしょう」

また、ジャーナリストの石川温(つつむ)氏も、SBMはいい買い物をしたと評価するひとりだ。

「イー・アクセスはもともとモバイルWi-Fiルータを扱っている会社なので、大容量通信に対応できている。そしてユーザーが400万人しかいないので、ネットワーク的にも余裕がある」

しかし、喜ぶのはまだ早い。これでSBMの長年の弱みだった“つながりにくさ”が一気に解消されるかといえば、話はそう簡単ではないらしいのだ。

「イー・アクセス通信網の統合が完了するのは来年春頃。にもかかわらず、SBMは12月からiPhone5のテザリングを開始します。ということは、来春まで現在の回線飽和状態のなかでサービスを提供することになる。いつパンクしてもおかしくない、危険な綱渡りといえます」(佐野氏)

そして、新帯域の統合後も安心はできない。

「もともとSBMとイー・アクセスは別の会社であったわけですから、統合後に果たしてスムーズな通信ができるのか。事前にさまざまな検証をしていても、実際の運用を始めてからトラブルが起こることもあります」(石川氏)

さらには、これもSBMのアキレス腱だった全国的なカバーエリアの狭さについては、あまり改善が期待できないという。

「イー・アクセスは小さな会社ですから、地方でのつながりにくさはSBMより顕著でした。だから、統合によってカバーエリアが広がる可能性は低い。これはテザリングにおいても同じことがいえるのですが、帯域が増えただけで通信品質が上がるわけではない。効率的に働くネットワークを構築し、基地局を継続的に増やし続けなければならないのです」(佐野氏)

いきなり派手なことをぶち上げて耳目を驚かす手腕には長けていても、地味で手間がかかる作業を後回しにしがちなのがSBMの企業カラー。

「事実、鳴り物入りで運用を始めたプラチナバンドにしても、恩恵を享受できているユーザーはいまだに少ないのです」(石川氏)

SBMが本当につながりやすいキャリアになるのは来春からなのか? それとも……。



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