オバマ大統領による金融規制の強化で外資系金融は終わる?

週プレNEWS / 2012年11月13日 15時0分

巨大金融機関は失敗しても税金で救済される。そんな理不尽がまかり通る理由を金融のメカニズムから解説する

『外資系金融の終わり 年収5000万円トレーダーの悩ましき日々』。リベラル派知識人が喜びそうなタイトルだが、ここでいわれているのは資本主義経済が終わるとかそういうことではないらしい。外資系金融が、資本主義のド真ん中にいるのに資本主義のルールが適用されない状況になっている、というのだ。果たして、その真意とは?

外資系投資銀行に勤めながら人気ブログ『金融日記』を執筆、有料メルマガ『週刊金融日記』も好調な藤沢氏が渦中から告発する!

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―“年収5000万円トレーダーの悩ましき日々”と、サブタイトルがすごいです。やっぱり、こんなにもらえちゃうんですか?

「大ざっぱに言えば、リーマン・ショック以前は大企業のエリートサラリーマンの5倍ぐらい稼げたんですよ。だいたい4000万から5000万円くらいでしょうか。新卒の初任給が、運がよければ1000万円を超えた。3年目くらいでヘッドハントされると、ベースの給料が1500万円以上で、それにボーナスが年1000万から3000万円ほどです。日本の上場企業社長の平均年収がだいたい3000万円らしいですから、20代で上場企業の社長よりもらえる(こともある)、という感じでしたね。

リーマン・ショック後はそこからだいぶ下がってしまいました。5000万円もらってた人も、今では2500万円くらいですかね。バブルのピークの2007年新卒入社の人は悲惨ですよ。5年間この業界で生き残っていたら5000万くらいもらえたはずなのに、今は2000万ぽっちとかで働かされてるんです。気の毒ですね」

―全然気の毒ではないんですが! それだけ収入が得られるなら、さぞかし優秀な人たちなんでしょうね……。

「割といい学校は出てますけど、普通のサラリーマンですよ。入社は社員の面接で決まるわけで、要は好きか嫌いかで判断される。だから使える社員もいるし、だめな連中もいます。

それに、彼らはサラリーマンとしていい給料をもらってますけど、会社のオーナーである株主のお金はぶっ飛ばしてしまった。5年前に100万円をゴールドマン(・サックス)に投資した人は、今は40万円以下に減ってしまっている」

―金融危機でリーマンは潰れたけど、残った銀行は潰せなくなってしまっている、と。

「リーマンが破綻して世界経済は大変なことになってしまったのを見て、大きな金融機関は潰せないことがますます明らかになった。だからアメリカ政府がAIGやシティ(バンク)などをなりふり構わず救済しました。こうした金融機関がやっていたのはある意味でバクチです。資本主義というのは、リスクを取ってうまくやれば金持ちになるけど、失敗したら退場するルールでしょ。それなのに巨大金融機関は失敗しても税金で救済されるんです」

―解決策はあるのでしょうか?

「金融機関が世界経済を人質に取れないようにするしかありません。大きすぎて潰せない、というのは単純に大きすぎるのです。会社のさまざまな部署を分割して別会社にしたり、大きさに制限をかけて、潰れても世界経済への影響が小さくなるようにしないといけません」

―アメリカの大統領選はオバマとロムニーで金融規制の姿勢が違いますね。

「共和党のロムニーは世界的に強めようとしている金融規制を元に戻そうとしていて、オバマは逆に強めようという立場です。アメリカが本気で規制をかけてくるならほかの国も従わざるを得ない。もしオバマが勝つと外資系金融は本当に終わるかもしれません」

●藤沢数希(ふじさわ・かずき)



欧米の研究機関にて理論物理学の分野で博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身、トレーディングなどに従事する。『「反原発」の不都合な真実』(新潮新書)など著書多数

■『外資系金融の終わり



年収5000万円トレーダーの悩ましき日々』



著者/藤沢数希 ダイヤモンド社 1680円



リーマン・ショックで欧州金融危機が起き、現在、ギリシャやイタリアが破綻のふちにある。ところがその元凶たちは高給をもらい、残った金融機関は税金で保護されることになった。なぜこのような理不尽がまかり通るのか? 金融のメカニズムから解説する



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