日本直販が破綻。ほかのテレビ通販会社は大丈夫なのか?

週プレNEWS / 2012年11月22日 10時0分

11月9日、テレビショッピングの「日本直販」を運営する総通が、大阪地方裁判所に民事再生法の適用を申請した。負債総額は約174億円、事実上の経営破綻だ。

日本直販は総販売本数100万本を誇る大ヒット商品「高枝切りばさみ」を生んだテレビ通販の老舗。1995年9月期の年間売上高は約525億円あったが、2011年9月期の売上高はその半分以下となる約256億円まで落ち込んでいたという。

流通ジャーナリストの西川立一(りゅういち)氏はこう語る。

「日本直販は、他社では扱わないような特色ある商品を取りそろえつつ、高齢者を中心に一定の客層をつかんできた。しかし、ここ数年はそうした顧客を満足させる魅力的な商品を生み出すことができなくなったのが響きました」

一方、同社はテレビだけでなくネット通販なども手がけていた。しかしながら、新規顧客層を呼び込むには至らなかったようだ。

「これはネットビジネスの特徴的傾向なのですが、同じようなビジネスモデルの場合、上位2、3社がシェアを独占することになる。日本直販は総合通販ですが、ネットではアマゾンや楽天がライバルとなります。ご存じのように両社はネットショップの2強。基本的に消費者は決まったサイト、つまりアマゾンや楽天しか見ないので、日本直販がいくら自社で通販サイトを持っても客を誘導できないんです。結局、誰にも見てもらえないし、買ってもらえないという状態に陥る」(西川氏)

ネット通販の隆盛が同社の経営に影響したのは間違いなさそう。でも、ネットユーザーと日本直販の顧客層はそこまでかぶらないはず。“本業”のテレビ通販が順調であれば、ここまで経営が傾くこともなかったのでは?

「そういう意味では、テレビ通販業界内での過当競争に勝てなかったとも言えますね」(西川氏)

そもそも、テレビ通販とひと口に言っても、そのスタイルはさまざまだ。特にここ10年間で同業界は多様化の波が押し寄せている。

通販会社の代表者で構成される日本通信販売協会(JADMA)の万場徹(まんばとおる)事務局長もこう指摘する。

「現状、テレビ通販の方式は大きく3つに分かれます。数十秒のスポットCMで商品を紹介する方法。日本直販などが代表的なものですね。それから30分程度の通販番組で商品の魅力をじっくり説明する方法。さらに新興勢力としてケーブルテレビ、衛星放送などで専門チャンネルを設け24時間商品紹介を流し続ける方法などがあります」

テレビ通販が多様化するなかで、日本直販のようにたった数十秒で商品をアピールしなければいけないのは至難のワザだ。

「ですから、日本直販の破綻でテレビ通販が斜陽産業だとか、厳しいと見る人もいるかもしれませんが、そんなことはない。事実、業界全体で見ると決して悪いわけではありませんから」(万場氏)

例えば、ジャパネットたかた。テレビ通販業界の勝ち組に挙げられる同社だが、実際、一昨年には同社過去最高の1759億円の売り上げを達成している。昨年は売上高を落としたものの、「エコポイントと地デジ移行バブル終了による薄型液晶テレビの全業種的な販売不振が原因で、ビジネスモデルに陰りがあるわけではない」(前出・西川氏)という。

「通販業界全体の売上高は10年前の約2倍にも達しています。百貨店などの売り上げが減り続けるなか、小売業界全体はほぼ横ばい。つまり、購買パターンが通販にシフトしているのです。実際、われわれの調査でも11年度の通販市場は少なく見積もっても5兆円規模。そんななかで、あらゆるメディアをミックスさせて消費者に近づいていくことが、通販業界では重要になってきているのです。もちろん、そのなかでテレビができる役割は大きいとみています」(前出・万場氏)

ただし、現場の反応は微妙。テレビ通販を手がけたことがある大手システム企業で働くコンサルタントはこう漏らす。

「確かに、テレビ通販にはまだまだ可能性はあるとは思うけど、規制も多い。結局、最も影響力のある地上波は“公共の電波”ってことで大胆な新ビジネスがやりづらいんだよね。少し前、ある局がドラマで有名女優が着ていた服をその放送終了直後に通販で売ろうとしたり、私も情報番組と連動して洋服を売ろうとしたりしたけど、どっちも大コケ(苦笑)。頑張っても、せいぜいその程度の売り方しかできないし、しかも儲からない。悩ましいよ」

テレビ通販の未来やいかに?

(取材・文/コバタカヒト)



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