セルジオ越後の一蹴両断! 第288回「Jリーグ勢はアジア王者としてクラブW杯に出ろ!」

週プレNEWS / 2012年12月27日 15時0分

クラブW杯で、僕の古巣コリンチャンス(ブラジル)がチェルシー(イングランド)を1-0で破って優勝した。本当にうれしかったよ。

個々のタレントで上回るチェルシーを相手に、組織的に守って少ないチャンスをモノにする。何度かあったピンチも、GKカッシオを中心に集中力を切らさなかった。コリンチャンスにとってはまさに狙いどおりの展開だった。

その最大の要因はやっぱりサポーター。約2万人が応援に駆けつけたと聞くけど、熱烈な応援でスタジアムを完全にホーム化していたね。以前にも言ったように、コリンチャンスは人気の割に成績が安定しない、いわば“ブラジルの阪神タイガース”みたいなチーム。それだけにサポーターの期待は大きく、日本へ応援に行くために家を売ったり、車を売ったり、なかには離婚までした人もいたそうだ。

そんなサポーターが、何より選手に求めるのが戦う姿勢。選手もそれをわかっているから鬼気迫ったプレーをするし、疲れる時間帯でも大声援が背中を押す。Jリーグ時代は“気分屋”として知られたFWエメルソン(元浦和)も守備に走り回り、必死に体を張っていたね。創造的で華やかなブラジルサッカーのイメージとは正反対で、地味で泥くさい。でも、そんなコリンチャンスのサッカーもまた、ブラジルサッカーの一面であり、魅力なんだ。

さて、今大会はコリンチャンスサポーターのおかげで最後に盛り上がったけど、クラブW杯自体はビジネスとしても、興行としても、大きな曲がり角を迎えている。

クラブW杯はそれ以前に行なわれていたトヨタ杯(インターコンチネンタル杯)を含め、日本のサッカー文化形成に大きな影響を与えてきた。特に、初期のトヨタ杯は世界のスター選手を生で観られる唯一の機会。「プロとはこういうものか」と夢を与えてくれる大会だった。

僕が最初に思い出すのは、1985年のユベントス(イタリア)のプラティニ(現・欧州サッカー連盟会長)の“幻のゴール”だけど、30代以上のオールドファンにとっては、それ以外にも印象深い場面がたくさんあるはずだ。そして、そのひとつひとつがJリーグ誕生、日本代表のW杯出場など、その後の日本サッカーのレベルアップにつながっている。

でも、今のクラブW杯はどうか。運営側やテレビ局は「クラブ世界一決定戦」と煽るけど、不自然な開催国枠、不公平な試合日程や組み合わせなど、実態は程遠い。参加大陸ごとの温度差も以前より目立つ。日本のファンの目が肥え、チケットも高すぎて、決勝以外は空席だらけ。つまり、大会自体が頭打ちなんだ。野球のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)みたいに権威のない大会になってしまった。

それでも、2007年の浦和や08年のG大阪のように、Jリーグ勢がアジア王者として出場し、快進撃を見せれば、日本サッカーを世界にアピールできるし、大きな意味がある。ただ、残念ながら、Jリーグ勢はACL(アジアチャンピオンズリーグ)でまるで勝てなくなっているのがここ数年の現状だ。

13年、14年のクラブW杯はモロッコ開催。再び日本に戻る可能性はゼロではないとはいえ、経済状況が好転しないと厳しいだろう。そう考えると、もう日本サッカーとクラブW杯のつながりはなくなってしまうかもしれない。そうなったら寂しいね。

(構成/渡辺達也)



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