アベノミクスの狙いは国民の生活向上ではなかった?

週プレNEWS / 2012年12月26日 9時0分

12月26日、ついに安倍内閣が発足する。原発、TPPなど国民が新政権に期待するものはさまざまだが、なかでももっとも注目されるのは安倍首相の景気対策「アベノミクス」だろう。実際、マスコミ各社が行なう世論調査でも、同様の回答がもっとも多かった。

マーケットは安倍政権の正式発足前から反応し、株価が急上昇しているが、生活者が実感できるような景気回復は望めるのか。財務省のキャリア官僚、S氏に聞いた。

「イエスともノーとも言えます。自民党政権にとっての景気対策は、国民の生活を向上させることを目的としていません。第一の目的は、消費税率を上げるために名目上の経済成長率を上げることです。2014年度に予定されている消費税率のアップは、2013年10月の時点で直近の景気状況を見て決めることになっています。その判断材料となるのが、『4月~6月期』の経済成長率です」

従って、安倍政権は景気対策に関して悠長なことを言っていられないのだ。

「4月から6月までの期間に経済を活性化させるためには、その前に“足の速い”景気対策を打たなければならない。つまり、小規模な公共事業を数多くやるのです。これが結果的に“一部の国民”の生活向上には寄与しますが、あくまで本当の目的は名目上の経済成長。多くの国民は実感できないと思います」(S氏)

“小規模な公共事業”とはどういうことか? 国土交通省のキャリア官僚、T氏が解説する。

「ダムとか海底トンネルの掘削とか、大型で工事完了まで時間のかかる事業は経済効果が表れるのも遅く、『4月~6月期』に間に合いません。大規模事業は業者の選定からして競争入札などで時間がかかるし、用地買収が伴う事業など何年かかるかわかったものじゃないので問題外です。逆に事業の開始も完了も早く、業者の選定も契約も早く、お金の支払いも早いという、足の速い小型事業を中心に行なう。場合によっては、事業の中間点で支払う半金を5割ではなく6、7割払うとか、細かいことを積み重ねて民間にお金を流し、名目上の経済成長率アップを狙うのです」

例えば、最近発生したトンネルの崩落事故を受けて、高速道路だけではなく、一般道のトンネルや橋の打音検査を行なう事業などが、この“小規模な公共事業”にあたる。そのほか、公共インフラ系の耐震診断、補強、港湾の防潮堤や河川の堤防補強工事、一般道の舗装工事なども“足が速い”と、前出のT氏は言う。

そんな安倍内閣は10兆円規模の大型補正予算を組むことが予想されているが、どれくらいの経済効果が期待できるのだろうか?

「公共事業は、その全額を国が負担するわけではありません。例えば地方の道路は地方の負担分もある。国と地方の負担割合はケース・バイ・ケースですが、ザックリいうと、国の支出が10兆円なら、地方負担分も合わせた事業規模全体では17、18兆円くらいになる。必ずそれなりの経済効果は出ますよ」(T氏)

確かに「アベノミクス」の経済効果はあるかもしれない。だが、その目的があくまで消費税率アップのために『経済成長率』を上げることにあるなら、実際の国民の生活に寄与することはほとんどなさそうだ。

(取材・文/菅沼 慶)

■週刊プレイボーイ1・2超特大合併号「大予測!! 安倍政権を選んだ国民が払わされるこれだけのツケ」より



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