森永卓郎がデフレの終焉を予想「2013年は底値で株を買っておくといい」

週プレNEWS / 2013年1月2日 15時0分

「インフレに切り替わっても、賃金が上がり始めるのは14年の春頃になるから、2013年はまだ厳しい」と語る森永氏

2013年、モノの値段はどう動くのか? 経済評論家の森永卓郎氏は、2013年のモノの値段を決めるのに一番影響を与えるのは、ずばり「新政権」だという。

「平均的な物価というのは、日銀がどうにでもコントロールできるんです。物価はいろんな側面から決まりますが、ひとつはお金の価値が上がるか下がるかということなんです。物価は、経済の大きさが変化しない状況下では資金供給量に比例して上がったり下がったりしますからね」

つまり、民主党がやってきた金融引き締めで資金供給量を減らせばデフレ、逆に金融緩和を進めればインフレになる?

「そうです。安倍さんは2%の物価上昇率を目標にして、達成するまで無制限に資金供給を拡大すると言っている。それをやれば物価は2%上昇します。個別の商品では値下げするモノもあるでしょうが、平均的な物価は上がります」

ということは、個別な商品では相変わらず値下げ傾向にあるものの、金融政策によっては物価は上がると。

「そうです。15年続いたデフレに2013年は終止符が打たれるのは確実です。ただ、問題もあってですね、日銀法(日本銀行法)を改正して大胆な金融緩和をしなければいけないんですよ。民主党は、金融を引き締めてデフレをずっと継続してきましたからね」

ではインフレになったとして、モノの値段のほかにどんな変化が起きますか?

「経済学には『フィリップスカーブ』というのがあって、物価が上がれば失業率が下がります。これまでの日本の経験でわかったことは、物価上昇率が1%を切ると劇的に失業率が上がるということ。それが2%になれば、失業率が下がり、リストラのリスクも減り、転職、就職もしやすくなる。ただし、賃金は1年か2年のタイムラグをおいて上がり始めますけどね。さらにもうひとつには、資産価値が上がる。株価も地価も上がります。政府と日銀が200兆円くらい資金供給すると日経平均株価が2万円近くなっても不思議じゃないくらいの劇的な変化が起きます」

2万円! いくらなんでも……。

「それがアメリカはすでにやってるんですよ。リーマン・ショックから4年たちますが、その間、資金供給を3倍にしました。その結果、ダウ平均株価は2倍になってるんですよ」

そこまで大きな変化が! それが本当に喜ばしいかはわかりませんが……。

「ただ、2013年はまだ厳しいですよ。インフレに切り替わっても、賃金が上がり始めるのは14年の春頃になるわけで。しかも、14年の春は消費税増税が始まるので実質的には所得が増えないなか、物価だけが上がるということになりかねません。ですから、いまは徹底的に節約して株価、不動産価格が上昇するまで種銭(たねせん)をつくり、底値で株を買ったり、不動産投資信託に突っ込んで金持ちにコバンザメのように乗っかって儲けるというのが一番正しい行動かと」

一方で、国内政治動向に左右されなさそうな、日本が海外から輸入している原油や小麦などの食糧に関しては?

「これがどうなるかを予測するのは難しいんです。というのも、原油や穀物の価格は、よく中国やインドの経済成長による需要増大とか、産地の干ばつで収穫量が減ったなんてことがいわれますよね。もちろん、そういうことが原因での価格変動も1、2割はありますが、大部分の要因は投機資金がどこへ向かうかによるんですよ」

で、どこに向かうかというと?

「これは非常に難しいですが、ふたつの可能性が考えられます。まず、世界の景気が失速するという状況下では実体経済における資源の需要が落ちるわけです。そうなると、ギリシャの国債を暴落させ資産を買い占めてボロ儲けしたように、イタリア、スペインとヨーロッパ叩きをしてきた攻撃が続くか……。あるいは、世界の景気が回復して原料需要が増えて穀物や原油などの商品市場に向かうかですね」

森永さんは、どちらだと?

「私は欧州低迷、つまりヨーロッパを叩きにいって、商品市場はそんなに上がらないのではないかと思います。ただ、こればかりは本当に難しいので確定的なことは言えませんけどね」

(取材・文/頓所直人 撮影/利根川幸秀)

●森永卓郎(もりなが・たくろう)



1957年生まれ、東京都出身。1980年、東京大学経済学部卒業後、日本専売公社に入社。経済企画庁総合計画局、三菱UFJリサーチ&コンサルティング主席研究員などを経て、現在は獨協大学経済学部教授を務める

■週刊プレイボーイ1-2号「2013年 モノの値段アップ&ダウン」より



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