ボーイング787運行停止でANA&JALが大ピンチに?

週プレNEWS / 2013年1月28日 9時0分

一昨年秋、鳴り物入りで航空業界にデビューした米ボーイング社の最新鋭旅客機、ボーイング787型機(B787)。試験飛行中の火災事故に始まり、就航後も燃料漏れや潤滑油漏れなど受難が続いていたが、今月7日、米ボストンの空港に到着直後の日本航空機のバッテリーから出火。さらに16日には山口宇部空港発の全日空機が飛行中にバッテリーから発煙し、高松空港に緊急着陸する重大事故を起こしてしまう。これにより、日米双方の航空当局から、運航の一時停止処分が下ってしまった。

共同調査を行なっているボーイング社並びに米連邦航空局(FAA)はバッテリーを中心に原因を調査中だが、出火や発煙の原因ははっきりとはわかっていない。

現在、世界最多となる17機のB787を所有する全日空は、欠航便の代替など対応に追われている。今回の事態について、航空ジャーナリストの伊藤弘輝氏は語る。

「欠航となれば、航空会社にとっては大幅な減収。運航スケジュールの変更をしなければいけないし、時間を変更した場合はお客さまに違約金を払う必要も出てくる。また、機材変更ではビジネスクラスの座席数も変わるので、場合によってはダウングレードをお願いしなければならず、クレームに対するお詫び金も発生してくる。さらに、まったく関係のない路線を利用する一般のお客さまにも、玉突き的に機材変更を強いなければいけない。この場合も余分な経費がかかる。ちなみに、B787は貨物を16トン積めますが、5トンしか積めない機材に変更されれば、その分も減収となります」

もちろん、駐機代もバカにはならない。飛ばずにただ飛行場に駐機されているB787は、乱暴な言い方をすれば鉄クズ、いや、“金食う鉄クズ”なのである。

就航間もない機材に初期不良はつきものだが、まさか1年以上たってもトラブルが続出し運行停止処分を食らうことになるとは、航空各社も想定外だっただろう。

航空機に詳しいジャーナリストの世良光弘氏はこう語る。

「B787には、航空業界の期待も大きかったですからね。中型機ながら大型旅客機クラスの航続距離(約1万5000km)を誇り、従来機より速いマッハ0.85というスピードで巡航するにもかかわらず、燃費は20%もアップしている。その秘密は全面的に炭素繊維を使った機体の軽量化と、機内装置の電気化の推進。この機体を支えているのは電気の力。つまり設計思想も何もかも、既存の航空機とはまったく違った新世代の民間航空機なのです」

世界の航空地図を塗り替えるとされる同機を、全日空は2020年度までに計66機導入する方針だ。一方、ライバルの日本航空も、ほぼ同時期までに計45機体制にする計画を持っている。もし、今回の運行停止処分が長引き、この収益性の高い最新鋭機を寝かせ続ける状況になれば、それだけ両社の事業計画を狂わせることになるのだ。

(取材・文/コバタカヒト)

■週刊プレイボーイ6号「“夢の次世代機”ボーイング787 トラブル連発の本当の原因が見えた!?」より

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