祝・CDデビュー20周年! RHYMESTER「10年後にはビッグヒットを出します(笑)」

週プレNEWS / 2013年2月4日 0時30分

デビュー20周年を迎えるRHYMESTER。右からMummy-D、DJ JIN、宇多丸

宇多丸の映画批評やバラエティ番組出演をはじめ、最近はメンバー個々の音楽以外での活動がやけに目立つライムスター。CDデビューから20年、日本屈指のヒップホップグループはどこへ向かおうとしているのか?

■“把握しきれない人”でいたい

―ライムスターといえば、王道の日本語ラップで、長年ヒップホップシーンを牽引(けんいん)してきた大物ミュージシャン……なんですけど、最近、本業以外の活動がやたら目立ってません? 友達に「ライムスターって、すげぇイイよ!」と布教しようとしても、「ラジオの人でしょ」とか「あのサンプラザ中野くんみたいな人?」と返されたりして、ぶっちゃけミュージシャンとして認知していない人もいるんですよ! 僭越(せんえつ)ながら、もっと“大物”っぽく振る舞ってもいいのでは?

宇多丸(以下、) なるほど。いい切り口ですね(笑)。

Mummy-D(以下、) 確かに。戦略的にやってるわけではないんだけどね。

 でも、僕自身は世間の皆さんに“ラッパーっぽく”見られていないことは、そんなに気にしてないです。むしろ、今の浸透の仕方はすごくイイと思ってます。ラジオやテレビに出て、やれ映画だ、アイドルだ、時事ネタだと、いろんなところに出てくるあの人って何者!?と思われる“把握しきれない人”でいたいんだと思います。

―特に宇多丸さんは、『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』(TBSラジオ)で2009年にギャラクシー賞を受賞したり、『5時に夢中! サタデー』(TOKYO MX)でコメンテーターを務めたりと、幅広い活躍をしていますよね。

 逆にライムスターのファンだって僕のそういう面に理解があるわけじゃないから。例えば映画やアイドルソングについてなんか言っても、ファンからは畑違いの活動だとそっぽを向かれがち。「おまえら、ファンなら“アーティストの意向”ってものに興味持つもんじゃねえの?」って思ってたんですよ(笑)。

DJ JIN(以下、) それが、ラジオやテレビのおかげで、ようやくその偏見みたいのもなくなって、ファンにも理解してもらえるようになったと。

 ありがたいことだね。

―そういうMummy-Dさんも、バラエティ番組(フジテレビ系『世界は言葉でできている』。現在は放送終了)で名言を連発したり、ネット通販のテレビCMに出演したりと、急に露出を増やしていますよね。

 いや、テレビは面白そうなオファーだから受けただけ。CMもディレクターさんの目に留まって「CM出ない?」とお話をいただいて。そこに俺の意志はあんまりないです(笑)。

―あ、そうだったんですね(笑)。一方でDJ JINさんはプロデューサーグループ「breakthrough」を率いたり、ラジオ番組『Joint&Jam~global dance traxx~』(JFN)のパーソナリティと、一番“ミュージシャンらしい”活動をしてますね。

 そうですね。夜な夜なクラブを尖った音で盛り上げたり、ラジオでマニアックな曲を流したり、いわゆる音楽好きに向けた活動。相変わらず、ライムスターは侮れないぞと知らしめていきたいんで。

■ヒットはものすごく出したい(笑)

―ちなみにJINさんは、ほかのおふたりが出演されたテレビ番組をチェックしてます?

 普通に家族と一緒に楽しんで観ていますよ。あ、でも「昔の友達がテレビに出てる! 出ちゃってる!」みたいな、変なソワソワ感はあります(笑)。

―テレビやラジオを通じてライムスターの存在を知ったという週プレ読者も多いと思うんですけど、曲を聴いたら、日本語ラップの王道を地でいく曲があったり、かなりふざけた詞が炸裂した曲もあったり、きっとその幅の広さに驚かされるはず。

 誠実ってことじゃないですか? 人間の感情や生活を歌うことに対して。だからこそ、まじめな曲だけじゃ終われない。

 人間って社会問題を真剣に考えるときもあれば、ウンコしてケツふいた紙をまじまじ見るときもあるでしょ(笑)。週プレと一緒なんだよ。だって、エッチなグラビアの後に、急にまじめな政治の記事とか出てくるでしょ。

―なるほど。親和性は高いかも。

 そうなんですよ。俺たちくらい、週プレを体現してるアーティストはいないでしょ。ライムスターは“音の週プレ”だよ(笑)。

―大変光栄です(笑)。

 でも、確かにイメージっていうと、たぶんライムスターって、中心が“ブラックホール”なんだよね。例えば、一般的に知られたヒット曲があれば、「ライムスターといえば、あの曲」って核になるんだけど、ウチらにはない。

―確かに、ライムスター=(イコール)○○という曲はないかも……。

 でも、いろいろなことをもしゃもしゃやってさ、なんか面白い人たちだよね、と世間には思わせつつ“致命的なヒット”は出さないことが、実はとても大事なんだ。

 致命的って(笑)。

 要は大ヒット曲が出ちゃうと、そのイメージに引きずられちゃうと。曲がひとり歩きしちゃって、グループに対して固定観念ができて、今度はそれを歌わないとガッカリされちゃう危険性をはらんでいる。まあ、それは確か。

―コアな日本語ラップファンに刺さる曲ばかり作って、あえて大ヒット曲を狙わずにいた?

 いや、出したい、出したい。そこはものすごく出したい(笑)。

 ただ、結成当初から思い描いてる音楽像からはみ出さないように、曲げないようにすると、そんな簡単にヒットは出ない。

 あと、ファンの希望に100パーセント応え続けすぎちゃうと、ただの自動販売機みたいになっちゃうから。聴いてくれる人たちの予想や期待を裏切って、次は何をやらかすんだろう?って常に思わせていないと。あんまり正確に期待に応えてばっかりいると、前と違うことができなくなっちゃうじゃん。

 そうそう。けどね、俺ら、たぶん10年後にビッグヒットを出しますよ(笑)。だから、今から知ってるフリしといたほうがいい。

―強気なのか、弱気なのか、よくわかりません(笑)。

 10年後ぐらいに、ライムスターがこれまでまいてきた種が花開き、大ヒット曲を生み出すための条件が整っているはず(笑)。

 惑星直列みたいに(笑)。

 でも、最高ですよ。40歳過ぎて大したヒット曲も出してなくて、10年後にヒット飛ばすぜってフカせる俺らの立場って。

 夢見がちな高校生みたい。

(高校生っぽい口調で)マジでこれから勝ち上がっていくぜぇ。

一同(笑)

 この記事もムダにならないはずですよ。10年前から予測してたんだと(笑)

(取材・文/昌谷大介 照井琢磨「A4studio」 撮影/ヤナガワゴーッ! ヘアメイク/稲田理恵)

■RHYMESTER(ライムスター)



1989年に結成。93年にアルバム『俺に言わせりゃ』でインディーズデビュー。以降、王道をゆく日本語ラップで日本のヒップホップシーンをリード。無論、“武道館アーティスト”である。1月30日に9th.アルバム『ダーティーサイエンス』をリリース。3月10日からは全国ツアー「KING OF STAGE vol.10」がスタート!

●宇多丸



1969年生まれ、東京都出身。担当はラップ。名前は宇多田ヒカルと桂歌丸に由来する

●Mummy-D



1970年生まれ、神奈川県出身。担当はラップと楽曲制作。酒好きで“Mr.Drunk”の異名を持つ

●DJ JIN



1973年生まれ、神奈川県出身。担当はDJと楽曲制作。曲によってはマイクを握り、ラップを披露することも

 

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