「アベノミクス」で超短期の不動産プチバブルがやってくる?

週プレNEWS / 2013年2月6日 9時0分

アベノミクスの効果により、急速に円安への流れが進んでいる。輸出産業にとっては願ったり叶ったりの状態だが、実のところ、過剰な円安は日本経済にとってマイナスと指摘する声もある。

某大手外資系金融機関の幹部エコノミスト、T氏が解説する。

「原発事故以降、石油や天然ガスなどの輸入量は爆発的に増えています。円安はその購入費を膨張させることとなり、必然的に日本のお金が海外に流出することにもつながります」

「円」が海外に流出することで、国内でのお金の価値が下がる。その結果、相対的に物価の上昇が起こるという仕組みだ。しかし、そこに落とし穴があるとT氏は指摘する。

「注意してほしいのは、この物価上昇は単純に円安になったから輸入品のコストが上がるという“悪性の構図”だってことです。本来期待されるインフレとは、給与も上がり、消費がアップし、物価も上昇し、市場規模全体が拡大して経済が成長するというサイクルです。でも実際は物価上昇の原因が円安からくるコスト高だから企業の収益は上がらず給与も上げられない。国民生活が苦しくなるだけですよ」

消費税率を上げるためにはGDPの成長が不可欠。だからこそ、アベノミクスでは「バラマキ型の財政出動」もセットで行ない、数字上の経済成長は無理やりにでも達成させる可能性があるとT氏は予想する。だが、それでは給与も雇用状況も改善されない。

「欧米の主要中央銀行は、その任務に雇用対策も含まれているのが一般的なのですが、日銀にはその使命が課せられていない。単純に物価の安定だけを考える組織なんです。だから日銀の白川総裁はインフレ目標に言及しても雇用については完全無視です。失業率は下がらず、給与は上がらない。そんな状態は本当の好景気とはいえないですよね?」

それでは、日本企業の収益は伸びないという予測なのに、株価が上昇しているのはなぜか?

「上昇しているのは、輸出業関連と不動産関連が中心ですから不思議ではありません。不動産価格はこれからどんどん上がりますよ。日本の不動産価格は今が底値です。そして、今まで円を大量に保有していた海外の投資家たちは円を売ったので余剰資金を持っています。もう少し待ってさらに円安が進めば、外貨を持つ人間から見ると日本の不動産価格は格安になりますから、都心部の物件を中心に買いまくると思います」(T氏)

なんと、アベノミクスにより“不動産のプチバブル”が到来するというのだ。

「海外の投資家たちは安倍政権が景気刺激策として行なうであろう住宅ローン減税や消費税アップを目前にしたとき、日本の消費者による駆け込み需要が増大して不動産価格が上昇すると読んでいるのです。そして、再来年の秋に控える消費税率8%から10%への値上げ直前に売り抜けて莫大な利益を上げ、その後は“不動産プチバブル”がはじけて地価は下落する」(T氏)

結局、損をするのは日本人ばかりということか?

「外国人投資家が価格をつり上げた不動産を日本人が買い、その不動産価値が下落すれば、日本国民の預貯金を含めた総資産は目減りする。その差益を外国人投資家が得るということは、日本の富が海外に流出することを意味するのです。借金漬けの日本政府が発行する国債の価値が維持できているのは、国民の純金融資産が政府の借金以上だからです。しかし円の価値が下がり、総資産も減れば、国債の信用度が下がり暴落してしまう危険性も高まるのです」(T氏)

好調ぶりばかりが報道されるアベノミクスだが、日本という国が転落する危機と隣り合わせであることを忘れてはならない。

(取材・文/菅沼 慶)

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