中国からやってきた有毒ガスが日本で花粉症を増加させる

週プレNEWS / 2013年2月13日 9時0分

2月10日から旧正月の「春節」を迎えた中国。だが、新年を祝う花火や爆竹が、現地の大気汚染をいっそう深刻化させている。人口が密集する北京市では、汚染の拡大を防止するため市民に自粛を呼びかけているほどだ。

しかし、事態はすでに中国国内だけの問題ではなくなっている。アジア大陸からの越境大気汚染を研究する九州大学応用力学研究所の竹村俊彦准教授が語る。

「特に九州では、数年前から、一般市民レベルでも越境大気汚染を実感できる状況になっています」

教授によれば、中国を排出源とする汚染大気の日本への影響は、観測上では10年以上も前からすでに把握されているという。むしろ、九州などの西日本地域では「常識」になっていた事態を、近年になりようやく東京の主要メディアが問題視しはじめた面もあるとのことだ。

中国の大気汚染による本格的な影響は、むしろこれからの季節が深刻だと竹村教授は語る。

「冬季は大気が安定しており、大気汚染物質は発生源付近にとどまりやすい。現在も、ガスの多くはまだ北京付近で滞留しており、それゆえに日本への顕著な被害が抑えられているといえます。しかし今後、西から東への天気の動きが顕著となる春季(3月から6月)になれば、日本への越境汚染が深刻さを増していくと考えられます」

やがて春になれば、中国のスモッグの雲が、大挙して日本に向けて吹きつけてくるというのだ。

それでは、こうした汚染大気は、日本人の体にどのような影響を及ぼすのだろうか。呼吸器・アレルギーを専門とする「Kメディカルクリニック」(東京都世田谷区)の院長・菊地和彦氏はこう警告する。

「汚染大気に含まれた硫酸塩エアロゾルによって、花粉症や気管支ぜんそくが新たに引き起こされたり、症状がより重くなったりする懸念があります」

エアロゾルの粒子は、呼吸で直接吸引されるほか、花粉や空気中のチリなどに付着して人体内に入り込むこともある。ただでさえやっかいな花粉症を、より凶悪にさせる作用まで持っているのだ。当然、高濃度の汚染を継続的に吸い込む環境にいれば「呼吸器疾患による死亡のリスクが増加する」(菊地氏)。

また、「呼吸器系以外にも、心臓や血管など循環器系にもともと疾患を持っている方の病状をさらに悪化させる危険性もあります」(前出・竹村氏)というから恐ろしい。

ここまで健康を脅かす大気汚染が日本を襲おうとしているのだ。何か有効な防御策はないのだろうか。

「微小な微粒子やオゾンは、一般的な風邪用マスクの網目よりも小さい。防御策として、市販のマスクはほとんど効果がないといってもいいですね。汚染がひどいときには、屋外での活動を控えるのがいちばん有効な対処法になるでしょう」(竹村氏)

大気汚染が激しいときは、“引きこもる”のが得策のようだ。

(取材・文/安田峰俊)

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