中国は国内の権力闘争のために尖閣諸島を利用しているだけとの指摘

週プレNEWS / 2013年2月27日 9時0分

1月30日、日本の海自護衛艦に向け、中国海軍のフリゲート艦がレーダー照射を仕掛けてきた事件は、中国海軍“タカ派”の暴走による可能性が高いということはすでに報じたとおりだ。

※「尖閣レーダー照射で分かった、中国海軍“タカ派”の暴走っぷり」



(http://wpb.shueisha.co.jp/2013/02/25/17311/)

昨年11月に発足した習近平新体制においては、人民解放軍内部で覇権争いが勃発。日本との外交問題を利用して、海軍がのし上がろうとしていることは、中国評論家の黄文雄(こう・ぶんゆう)氏が指摘している。

一触即発の危険があったレーザー照射も、権力闘争のために日本を利用しただけという実情を聞くと、日本国民としては心中穏やかではないが、実は習近平新体制もまた、日本を利用して権力強化に乗り出す可能性があるのだという。黄氏が明かす。

「中国共産党の歴史を振り返ると、権力争いを繰り広げているライバルを紛争や戦争の最前線にわざと送り込み、敵に殺させるという手法が目立ちます。例えば、ベトナムとの戦争時、鄧小平(とう・しょうへい)は対立する政敵と軍部を最前線に送り、50万人もの中国軍人をベトナム民兵に殺させています。

解放軍内には新主席を差し置いて、前主席の胡錦濤(こ・きんとう)にいまだに忠誠を誓うグループも健在です。ひょっとしたら、習近平もまた海軍の暴走を利用して日本と紛争を起こし、自衛隊や米軍に軍内部の政敵を葬(ほおむ)ってもらおうという誘惑に駆られるかもしれないのです」

つまり、尖閣海域における中国の挑発行動が続く背景には、①国益の確保、②国内での権力闘争のふたつの動機が考えられるということ。もしそれが本当なら、中国の挑発、特に海軍の暴走に付き合えば付き合うほど、日本は損な役回りを演じる羽目になりかねない。

とはいえ、中国の軍事的脅威が日々大きくなっていることは事実。いったい、中国にどう対処すればいいのだろう?

「対中国前線基地を充実させて、防衛体制を早急に整えることです。沖縄には20機の戦闘機が配備され、一度に2機がスクランブル発進できるが、これではちょっと心許(こころもと)ない。尖閣海域により近い宮古島の下地島(しもじしま)空港に沖縄と同数くらいのF-15をすぐにでも配備すべきです」(軍事ジャーナリスト・世良光弘氏)

ただ、日本がいくらがんばっても、中国はそれ以上の勢いで軍備を増強させてくる。 その現実を前に、海上保安庁の幹部はこう提言する。

「今度の補正予算で、やっと6隻の警備艦を新造する予算がつきました。ただ、新造艦が完成するのは2年も先のこと。尖閣の現状を考えると焼け石に水です。しかも厄介なことに中国は海監(かいかん)、漁政(ぎょせい)の艦数を大幅に増強しつつある。もし、中国が常時10隻以上の船を投入してくる事態になれば、日本側も6隻どころか、新たに予算措置をして、もっとたくさん警備艦を造らなくてはいけなくなるでしょう。

ただ、日中が艦船の増強合戦をやってもあまり意味がない。双方の船が増えて、かえって衝突のリスクが増すだけです。むしろ、中国には冷静かつ毅然(きぜん)と対処して挑発に乗らず、外交交渉でこの海域の緊張を緩和することが大切です」

中国問題に詳しいジャーナリストの富坂聰氏もこううなずく。

「レーダー照射の事実が明らかになり、国際社会は『やはり中国は危険だ』というイメージを抱いたはず。その意味ではダメージを受けたのは日本でなく、中国。だったらこれ以上、ダラダラと中国海軍の暴走に付き合う必要はない。レーダー照射に抗議して中国に真相究明を迫るよりも、さっさと日本がペースを握り、尖閣海域でこれ以上緊張が高まらないよう、安全装置の構築に乗り出せばいい。

国際社会も日本のそんな対応を抑制的で冷静と、高く評価するはずです。まずは緊急時に備え、日中間のホットラインを設けること。その上で、日中の領海が接する海域で安全を維持するための協議テーブルを一日も早く設定することですね」

レーダー照射発覚後、尖閣海域での中国船によるデモンストレーションは一時的に鳴りを潜めている。今こそ、中国に平和を迫るべく、日本が外交攻勢をかけるときかもしれない。

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