局地的に震度5も! 箱根の群発地震は火山噴火の予兆か?

週プレNEWS / 2013年3月6日 12時0分

約3000年前から箱根火山活動の中心地となり、噴気を吐き続けてきた大涌谷。その地下で何が起こっている?

関東の西端にそびえる天下の険、箱根山の様子がどうもおかしい。

2月10日午後1時過ぎに、観光名物「黒たまご」でも有名な噴気地帯の大涌谷(おおわくだに)で突如として強い縦揺れ地震が発生! その震源域を東西に横切る箱根ロープウェイが2時間にわたって緊急停止した。

地震発生時に大涌谷の新駅舎の建設現場に居合わせた工事関係者に話を聞くと、今までに感じたことのない揺れに襲われたという。

「最初は地震だと思いませんでした。いきなり『ズドーン!』とデカい音が響いて地面が跳ね上がり、体がよろけて倒れそうになった。てっきり噴火か、何かの爆発事故かと思って周りを見渡すと、ロープウェイのゴンドラが上下に揺れ続けていたので地震だとわかりました。30年以上も箱根で働いてきたけど、こんなに瞬間的で強い地震は経験したことがない」

箱根地域の地震火山活動を継続観測している神奈川県温泉地学研究所の発表によると、この地震の規模はマグニチュード2.3。さほど大きくはないものの、震源が大涌谷直下1.8kmと浅かったため局地的に震度5に達したという。

箱根では現在も有感・無感地震が続く。箱根町役場・総務部の担当者がこう話す。

「駒ヶ岳と仙石原(せんごくはら)にかけての直下型地震は昨年末から目立ち始め、今年1月中旬から群発化してきたようです。ただし、今回の震度5が起きた大涌谷には人が住んでおらず、仙石原などの周辺市街地でも被害は起きていないので、今のところ気象庁の噴火警戒レベルは『1』(状況に応じた火口内立ち入り規制等)のままです。しかし、とても安全だと言い切れる現状ではないので、今後も注意深く状況の変化を見守っていきます」

大涌谷では2001年の夏にも群発地震と噴気量の急増が起きたため、噴火警戒レベルは一時的に「2」(火口周辺への立ち入り規制等)へ引き上げられた。

だが、今回の群発地震の発生頻度はより高く、1月17日から2月26日にかけて1600回(一日平均40回)を超し、さらに記録を更新中だ。

実際、週プレの現地取材時(2月22日)にも、大涌谷から北へ約3km離れた仙石原で、「ゴゴーッ!」と不気味な重低音の山鳴りが轟(とどろ)き、地中から突き上げる衝撃を感じた。

週プレとともに長らく地震火山災害の取材を続けるジャーナリストの有賀訓氏は「箱根地域だけでなく、今後は周辺100kmを含む広い範囲でも油断は禁物です」と指摘する。

「誰もが通常の地震の揺れ方とは違うと感じる箱根群発地震は過去、1986年11月の伊豆・大島三原山噴火、89年7月の伊東市沖・手石海丘噴火、00年の三宅島・雄山噴火など、同じ富士火山帯の噴火開始直前にもそれぞれ発生した火山性地震そのものです。大涌谷の噴気は90年代から少しずつ強まっていて、今回の群発地震では噴出孔の位置も変化しています。なので、マグマが地表を押し上げる段階を過ぎ、噴火に直結する亀裂が広がったと警戒すべきでしょう。

さらに気がかりなのは、箱根カルデラ北西にある仙石原で浅い震源の地震が多発していること。この現象は、86年の三原山噴火の際に、同じく箱根の北西火口原で起きた大規模な割れ目噴火と共通した活動メカニズムを連想させます。しかも、その近くには満々と水をたたえた芦ノ湖があり、その湖底でも地震が群発し始めている。噴火活動が本格化すれば破壊力の強い水蒸気爆発に結びつく可能性も否定できません」

箱根火山の活動開始は約65万年前にさかのぼり、約20万年前からカルデラ内に湖が現れ、それ以後の噴火活動では宿命的に水蒸気爆発が頻発するようになったという。

「5万年前頃には最も巨大な噴火が起き、約80km離れた現在の東京23区に当たる地域にまで大量の噴出物『東京軽石(かるいし)』を降り積もらせました。また、高温高速の火砕流が相模湾沿岸を東進して、現在の横浜市内に当たる地域の生物界まで焼き尽くしたこともわかっています。

ちなみに、約3000年前から13世紀の鎌倉時代にかけても、大涌谷火口を中心に何度も噴火が繰り返され、その流下物による浸食と地殻変動で、現在の箱根外輪山は東側の小田原市方向へ口を開けています。もし今後、大きな噴火があれば、首都圏へ火砕流が魔の手を伸ばす元凶になりかねません」(有賀氏)

もし、本当にそんなことになったら、被害の大きさは噴火が秒読みともいわれる富士山どころの騒ぎじゃない?

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