3.11から2年。「本当の復興」を目指して~酒造会社・角星

週プレNEWS / 2013年3月12日 6時0分

ガレキが撤去された店舗の前で。右から斉藤嘉一郎さん、妻の優子さん、息子の大介さん

宮城県を代表する漁港であり、水産加工業や造船業も盛んだった気仙沼(けせんぬま)市。津波の被害は大きく、老舗の酒造会社「角星(かくぼし)」が港近くに構えていた本店も津波で壊滅した。しかし明治39年の創業を記す金看板と、高台の製造所にあった2本の仕込みタンクは奇跡的に無事だった。

「人智の及ばない大災害の前で、それでも商売を続けていけという声を聞いた気がした。感激しつつも看板は重かったですね」と、同社社長・斉藤嘉一郎(かいちろう)さん(54歳)は当時を振り返る。タンクの酒は復興祈願を込め新ブランド「船尾灯(ともしび)」として発売。テレビでも紹介されヒット商品になった。

商売の再開は上々に見えたが、前途は多難だ。2011年こそ売り上げが前年比プラスとなったが、昨年は前年比マイナスへ。昨年の後半からボランティアや観光客の数が減ったことも売り上げ減少に拍車をかける。

うれしいニュースもある。東京の大学をこの春卒業する息子の大介さんが東京の酒店に就職し、数年後には「角星」の6代目社長となる腹を決めたのだ。

気仙沼市では地盤沈下を修正する「かさ上げ工事」がこの春着手される予定だが、再建計画はいまだ定まらない。それでも斉藤さん一家にはほのかな“ともしび”が見えている。

*「船尾灯」はホームページからも購入可能。【http: //www.kakuboshi.co.jp/】

(取材・文/長谷川博一、撮影/野田雅也)

週プレNEWS

トピックスRSS

ランキング