中国の新組織“国家海警局”に尖閣諸島が乗っ取られる

週プレNEWS / 2013年4月11日 9時0分

3月の全国人民代表大会で発表された、中国の「国家海警局」の創設。“海洋強国化”を目指し、これまで各所に散らばっていた権限を一極集中させるというのだ。

どんな思惑が隠されているのか、東海大学海洋学部の山田吉彦教授が解説する。

「中国海警局は、尖閣海域を脅(おびや)かす軍艦以外の公船の多くを指揮することになる、アジア最大の海上警備機関です。公安部の『海警』を中心に、国家海洋局の『海監(かいかん)』、農業部の『漁政(ぎょせい)』、さらに密輸取締りを担う『海関(かいかん)』が加わり、統括する船舶は3000隻以上となります」

それと前後するように、中国は尖閣近海で海軍や公船による示威行為をエスカレートさせている。1月には海上自衛隊の護衛艦が中国軍艦に射撃管制レーダーを照射され、2月には日本の漁船が領海内で中国の監視船に追い回される事件が起きた。連日のように尖閣周辺に出没する中国公船に、日本側は海上保安庁の巡視船で対応している。

海保は国土交通省の外局で357隻の巡視船艇を保有しているが、このうち尖閣などの外洋に出られるのは200隻足らず。しかも、全巡視船の約2割はすでに耐用年数を超えていることが明らかになったばかりで、人員も船もまったく足りていないのが現実だ。海保を数十年にわたって撮影し続けている岩尾克治カメラマンは、こう語る。

「第11管区(沖縄・那覇)には現在、全国から集まった約20隻の巡視船が展開し、3日間交代のローテーションで常時5隻が尖閣海域をパトロールしています。中国の公船が現れると、1隻に対しこちらは2隻で対処します。これから夏場にかけ、漁船も含む大量の中国船が押し寄せてくると、洋上勤務は連続1週間にも及ぶ見込みです。かつては勤務後のアフターファイブも確保できた乗組員たちですが、今ではそんなことはとうてい考えられない状況です」

この慢性的な人員・巡視船不足を解消すべく、安倍首相は120人の定員増と新巡視船の建造を指示したが、それでも2015年度末までに新設される予定の「尖閣専従部隊」は人員600名、巡視船12隻と、とても十分とはいえない陣容にとどまる見込みだ。

数の力で劣勢を強いられる海保は、さらに法律によっても行動を厳しく制限されている。軍事評論家の菊池征男(まさお)氏が解説する。

「海保は海難救助を主任務とする、いわば“海の警察”です。海洋法や国内法しか執行できないため、外国の公船に対しては幅寄せも放水もできません。また、海上保安庁法第25条で『軍隊の機能を営むことを禁ず』との旨が定められており、中国の軍艦や公船から攻撃を受けても、こちらは基本的に艦首と艦尾しか撃てず、艦橋や乗員を狙ってはいけないことになっています」

自衛隊法では「海保は有事の際には防衛大臣の指揮下に入る」と定められ、いわば後方支援を行なうとされているが、海上保安庁法にはそんな規定は一切ない。そもそも現在のような事態は海保の活動内容として想定されておらず、法整備がまったく進んでいない状態なのだ。

襲い来る中国の脅威に、現場の負担ばかりが増している実情。この状況で、日本は本当に尖閣を守れるのだろうか……?

(取材・文/本誌軍事班[協力/世良光弘、小峯隆生])

■週刊プレイボーイ16号「『海保大改革』で尖閣警備の“穴”を埋めろ!」より

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