北朝鮮国内の“戦争ムード”は終息に向かっている?

週プレNEWS / 2013年4月15日 9時0分

開城(ケソン)工業団地の閉鎖、在韓外国人への避難勧告、そして、ムスダンミサイル発射の兆候―。

挑発をエスカレートさせる一方の北朝鮮に、国際社会では「本当に戦争が起こるのではないか?」との懸念が高まっている。

さぞかし北朝鮮国内でも“開戦前夜”の緊迫ムードが漂っているはずと思っていたら、アレレ?

アジアプレス大阪オフィス代表の石丸次郎氏がこう首を振る。

「4月5日、6日、10日の3度、北朝鮮国内の情報提供者と連絡を取り、現地の様子を聞いてみました。すると、驚くことに開戦前夜どころか、国内では戦争ムードは日に日に薄れ、終息に向かっているというのです」

この情報者提供者によると、4月10日、朝鮮人民軍の一部隊が田んぼにテントを張り、農作業にいそしむ光景を目撃したという。

「田んぼは軍の所有する農地だったそうです。食糧不足の北朝鮮では軍も米などの作物を自給自足しなくてはなりません。そのため、この時期に稲の作付けをしないと、軍人も飢えてしまうのです」(石丸氏)

軍だけではない。在京の韓国大使館筋が明かす。

「私たちが入手した情報によると、一般国民も田植え作業に多数動員されているそうです。食糧不足で飢饉が起きれば、金正恩(キムジョンウン)政権の信望は地に落ちる。そのため、北朝鮮政府も今は農作業に国民を動員しているのでしょう」

ちょっと待った! 金正恩政権は今日、明日にでも米日韓に無慈悲な核攻撃を加えると豪語しているんじゃなかったっけ。なのに、国内ではのどかに農作業?

「北朝鮮は予備役の国民にも銃弾や軍糧を配布し、戦争準備状態に突入したと喧伝(けんでん)していますが、それは一部分。実際には国民の大半は今、堆肥作りや田んぼの苗床作りに追われ、戦争どころではない。外交官の退避が勧告された平壌(ピョンヤン)市内の表情も、いたって平穏との報告を受けています」(前出・韓国大使館筋)

どうも北朝鮮の行動は怪しい。過激な挑発は表向きのことで、実際にはアメリカとドンパチ構える気など毛頭ないってこと?

前出の石丸氏が語る。

「すでに3月下旬から国内の各地で国民向けの講演会が実施されています。その内容は『戦争に備えよ』というものではなく、逆に『戦争は絶対に起こらないから安心しろ』というものだったそうです。金正恩政権は国内でも極限まで戦争の恐怖を煽ってきました。ただ、あまりにも戦争ムードを強調したため、国内でも本当に戦争が始まると信じる人々も出てきた。そのまま放置していると、脱北者どころか、軍からの脱走兵も出て、社会混乱につながりかねない。そこで『戦争はない』との講演会を行ない、民心を安心させようとしているのです。メディアでは明日にでも朝鮮半島で戦争が始まるような報道があふれていますが、金正恩が戦争を起こすことは絶対にないと断言できます」

あるコリアウオッチャーもこううなずく。

「中国の旅行会社に問い合わせたところ、この5月、6月の北朝鮮観光ツアーは予定どおりに実施されるとのことで、すでに北朝鮮当局は旅行代金の一部を受け取っているそうです。7月27日から始まるアリラン祝典も中国、ロシアからの観光客を中心に予約受け付けが始まっています。アリラン祝典は約10万人の平壌市民が動員される世界最大のマスゲーム。準備に1年以上かかっており、北朝鮮は約1億ドル(約99億円)の外貨収入を見込んでいる。それでなくても開城工業団地を閉鎖したため、韓国企業からのドル建て給与が入らなくなっている。その損失分を穴埋めするためにも、アリラン祝典は予定どおりに行なわれるはず」

それでは過激な挑発を繰り返す北朝鮮の真の目的とはいったいなんなのか?

「狙いは金正恩の権威を高め、その指導体制を固めるためです。若すぎる、経験に乏しいという不安材料を払拭し、アメリカと対等に渡り合える強力な指導者という印象を国民に与えたいのです。その目的さえ果たせば、北朝鮮は振り上げた拳を下ろすはずです。おそらく弾道ミサイル発射、核実験予告などでマッチョな印象を内外に与え、中国やスイスなどの仲介を受け入れたところで、まずは開城工業団地問題を抱える韓国を交渉のテーブルに引きずり出す。その後、あわよくば米オバマ政権と直接交渉も実現させるというシナリオを描いていると思います」(前出・石丸氏)

北朝鮮の挑発に右往左往するだけ損。クールかつ断固たる態度で臨むのが最上の策か。

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