GM(遺伝子組み換え)作物の安全性に疑問の声が上がっている

週プレNEWS / 2013年5月13日 19時0分

6月に公開されるフランスのドキュメンタリー映画『世界が食べられなくなる日』が、公開前から大きな話題を呼んでいる。

映画は遺伝子組み換え作物の長期的な影響を調べる動物実験を取り上げ、遺伝子組み換え作物と除草剤「ラウンドアップ」を摂取したラットが、乳がんや深刻な肝臓、腎臓障害を次々に発症する実例が映し出されている。特にラットに現れる巨大ながん腫瘍は目を背けたくなるような悲惨さで、事態の深刻さを物語っている。

遺伝子組み換え作物とは、人為的な遺伝子操作によって、除草剤や害虫などに耐性を持つ作物のことで「GM(Genetically Modified)作物」と称される。GM作物を原材料に加工される食品は「GM食品」と呼ばれ、実はわれわれの身近なところにもありふれているという。

『世界が食べられなくなる日』で取り上げられた実験を行なったのはフランス、カーン大学の研究チームで、研究を率いたのはジル・エリック・セラリーニ教授だ。同映画監督のジャン=ポール・ジョー氏は、セラリーニ教授との当時のやりとりを次のように振り返る。

「2009年の8月、彼が私にこう言ってきました。『実は6ヵ月前からラットの実験を始めてるんだけど、想像もしなかった結果が出ている。ぜひ映画にしてくれないか?』と。2012年の9月、映画の公開とほぼ同時に研究結果も科学専門誌に発表されました。反響は大きく、フランス政府も注目しています」

研究結果を受けてフランス政府は早速、GMトウモロコシとがんの関連性について、保健衛生当局に調査を要請。研究結果が、GM作物についての根本的な問題提起を促したのだ。

GM作物についての著書も多く、かねて警鐘を鳴らし続けている、食政策センター・ビジョン21代表の安田節子氏も、こう話す。

「これまでの安全認証は、90日間の動物実験に基づいています。ですが今回の実験は、ラットの平均寿命である24ヵ月間にわたって調べたもの。大変意義がある実験だと思います。私たちが生涯食べて安全なのかは確認されてこなかったからです。そもそもGM作物やGM食品が国の認可を受ける場合に、アメリカでも日本でも動物実験による追試験をしないことが問題なんです。アメリカならFDA(米食品医薬品局)、日本なら食品安全委員会が企業側の書類を審査するだけ。日本の安全委も『安全性の測定は企業が経済的責任を負うべき』なんて言っているのが実情です」

本当に安全なのかと疑いたくなるGM作物だが、実は日本のTPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加によって、GM食品の日本での表示義務が撤廃され、流通量が一層増えることが懸念されている。

いま、日本の食の安全が脅かされようとしている。

(取材・文/長谷川博一)

■週刊プレイボーイ21号「TPP参加で遺伝子組み換え作物が日本の食を支配する!!」より

週プレNEWS

トピックスRSS

ランキング