アベノミクスの副作用で長期国債金利が急上昇中

週プレNEWS / 2013年6月3日 0時30分

4月5日に一時0.315%という史上最低金利を記録した10年物の長期国債金利だが、5月29日には一時0.965%にまで急騰。国と地方の借金額が計1000兆円以上の日本の場合、0.65%の上昇で6兆5000億円以上も利払い額が増える

“出だし好調に見えた”アベノミクスだが、ここにきて早くも金融市場で不安定な現象が頻発している。そのひとつが長期国債金利の急上昇だ。

長期国債金利が上がると何がマズいのか? 長期国債とは償還期間が1年以上の国債を指すが、一般的に重要視されているのは10年物の国債だ。この金利が住宅ローンなどに代表される長期金利の指標になるためだ。

また、基本的に、国債の信用度が高ければ安い金利でも欲しい人が多くなるので、金利は低くなり、売買価格は上昇する。これが金利の上下するメカニズムだ。

国債の信用度とは、まさに国の信用度とイコールだ。日本の場合、借金だらけで財政は火の車だが、国民が持つ貯金や金融資産の合計が国と地方が抱える借金額を上回っているため、まだ信用度が高く、金利が低く維持されていた。

そこに日銀の黒田総裁は「異次元の金融緩和」の目玉として、市中にある国債の7割を日銀が買うと宣言した。これは需要が供給を大きく上回ることを意味するから、国債の価格は上昇し、金利は下がったのだ。実際、黒田総裁が国債の大量購入を公式発表した翌日の4月5日には、長期国債の金利が一時、史上最低となる0.315%を記録した。

それなのになぜ今、長期国債金利は急上昇し始めたのか? 某大手外資系金融機関のエコノミスト、T氏が解説する。

「長期国債の金利というのは、マーケットが数年先までのリスクと期待を判断して決まるんです。4月4日に市中の国債を7割購入するという具体的な数字を発表する前から、黒田さんは異次元の金融緩和を断言していました。だからマーケットはすでに期待を織り込み、国債価格が上昇を続け、金利は下落していた。4月4日の発表直後に価格が急騰したのは、弱気な投資家までもが後追いで買いに走ったからです。日銀が買うと明言したので、リスクが完全になくなりましたからね。そうして4月5日には史上最低金利を記録したのです」

だが、同日には投資家たちの動きに早くも変化が見え始める。

「いち早く日銀の異次元緩和実行を確信して大量の国債を買っていた投資家たちは、高値がついた4月5日から早くも売りに転じました。アベノミクスは2%の物価上昇を目指しているのですから、そのうち金利も上昇するのは明白です。そうなれば国と地方自治体が抱える1000兆円以上もの借金の利払い費も膨れ上がり、日本は財政破綻へと突き進むという予測が世界の常識です。日本政府は国債を償還できなくなるリスクが高まり、国債価格が暴落するかもしれない。だから外国人投資家たちは、さっさと利益を確定させて危ない日本国債を手放したいのです。最後まで日本国債を抱えて貧乏クジを引くのは、日本の金融機関と日本人の一般投資家ではないでしょうか」(T氏)

マスコミによる“アベノミクス礼賛”の声と反比例し、日本経済における海外投資家からの信用度は下落し続けているとT氏は言う。

「アベノミクスが始まって間もないこの時期に国債金利が上昇しているという現象は、日本の長期国債の信用度がすでに下落し始めたという証拠です。世界のマーケットは、アベノミクスで日本経済が復活する可能性よりも、日本が財政破綻する確率のほうが高いであろうと読んでいるのです」

一時は1万5000円ほどまで上昇していた日経平均も、連日乱高下を繰り返している。これが崩壊の始まりでなければいいのだが……。

(取材・文/菅沼 慶)

■週刊プレイボーイ24号「アベノミクスのヤバすぎる副作用と身の守り方」より

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