「マドリードオリンピック」開催ならスペインが第2のギリシャになる?

週プレNEWS / 2013年6月25日 15時0分

6月13日、オリンピック招致を東京と争うスペインの首都マドリードが、スポーツ選手のドーピングを禁止する「反ドーピング法」を制定した。招致の獲得合戦に向け、法律面でもクリーンさをPRする狙いだ。果たして、マドリードにオリンピック開催の可能性はあるのか?

スペインは1990年代にバルセロナで夏季オリンピックを経験しているが、それは不利な要素にはならないと世界各地で取材するスポーツ記者の折山淑美(よしみ)氏は言う。

「バルセロナオリンピックは1992年開催だから21年も前の話だし、EU諸国からするとバルセロナとマドリードが同じ国という認識はないのでは? バルセロナはカタルニア地方の中心で、昨年もスペインからの独立運動で150万人のカタルニア人がデモに参加している。いわばカタルニア国ですよ。一方、マドリードからすれば『カタルニアでオリンピックをやったのだから、マドリードでもやるべきだ』という論理でしょう。日本人には理解し難い話ではありますが、日本と韓国のライバル関係のようなものが、マドリードとバルセロナの間にもある」

とはいえ、マドリードでのオリンピック開催については疑問視する声も多い。

「マドリードの高級ブランドショップが並ぶセラーノ通り(東京でいえば銀座通り)の中央には植え込みがあるのですが、大勢のホームレスが占拠し、テントで暮らしている。通行人が彼らを見るというより、ホームレスが通行人をジッと見つめている(苦笑)。いかにスペインの経済状態が深刻かひと目でわかるでしょう」(マドリード在住のジャーナリスト)

ギリシャが経済破綻寸前までいき、次はスペインかポルトガルかといわれるくらいジリ貧状態のスペインだからこそ、オリンピック招致を決めて数兆円規模のマネーを呼び込みたいという魂胆があるのかもしれない。

某民間経済研究所、主席エコノミストのN氏も、「経済的に閉塞(へいそく)感が漂い、若者も夢や希望をなかなか抱けないところで、世界的なスポーツイベントが開かれるとなれば国民の気持ちも元気になります」と精神面での“オリンピック効果”を肯定的に分析する。しかし、景気対策としては、かなり疑問が残るという。

「新興国がオリンピックを開催する場合は持続的な経済効果が期待できますが、先進国の場合、一時的な効果しか期待できず、むしろその後の反動のほうが怖い。スペインの場合、経済支援するドイツなどからすれば、オリンピック開催後、経済破綻に突き進んだギリシャのように、財政状況をさらに悪化させかねないリスクがあることは、望ましいことではないはずです」(N氏)

やはりマドリードのオリンピック招致最大の障害は、悪すぎる国内の経済状況か……。開催は2020年と先ではあるが、それまでに景気回復を成し遂げる展望を打ち出さなければ、国際オリンピック委員会に不安を抱かれることになりそうだ。

(取材・文/鈴木英介)

週プレNEWS

トピックスRSS

ランキング