“伝説の奇書”最新刊。村田らむが14年間、密着取材したホームレスの日常生活とは?

週プレNEWS / 2013年7月30日 6時0分

ホームレス関連本で過去2作が絶版に追い込まれた村田らむ氏。最新作「ホームレス大博覧会」はどうなる?

村田らむがホームレス関連の本を発表するのは4度目。うち、1・2作目は労働者団体からの抗議に遭って絶版となった。作家や学者といった人からの支持も厚く、定価1500円程度の本が、中古書市場で一時2万円をつけたことも。

そんな「伝説の奇書」のたたずまいは『ホームレス大博覧会』でも健在だ。ホームレスとはどんな人たちで、毎日何をして過ごしているのか。支援団体のレポートからは見えてこない彼らの姿が、14年間密着してきた村田氏ならではの臨場感で描かれる。村田氏に聞いた。

―2001年の『こじき大百科』を出した経緯を教えてください。

「もともと雑誌の取材でホームレスを取材していたので、それをまとめたんです。タイトルはやばいんじゃないかと思ったんですけど、出版社の社長がぜひこうしたいと。案の定、名古屋の労働者団体から抗議が来ました」

―まあ、このタイトルですから仕方ないのでは……。

「でも、タイトルだけじゃなかったと思うんですよね。その労働者団体のことをけっこうクソミソに書いたりしてしまって。その団体を取材しに行ったとき、彼らが皆で麻雀してたこととか、ずいぶん高圧的ないやな応対されたこととか……。それで敵だと思われてしまったんでしょうね。版元に抗議に来て、社長はかなり追っかけまわされてました」

―2作目の『ホームレス大図鑑』が出たのは2004年ですね。

「そのときも同じ団体から抗議が来たんですよ。2作目の出版社はやくざ関連の本も出していて。編集者は『うちは圧力には強いから大丈夫です!』って言ってくれて任侠担当の方が応対に当たってくださったようなのですが、あっさり絶版になってしまいました」

―まあ、過激な描写もたくさんありましたし……。ホームレスがザコ寝しているセンターを「戦時の臨時遺体収容所みたい」とかバラックが立ち並ぶ公園を「貧乏なシムシティ」と書いたりとか。

「団体の人が言うには、暴力をあおっているように読めると」

―でも、一貫して“ホームレス狩り”には否定的ですね。

「ホームレス狩りにも行政にも、『ボランティアマフィア』みたいな人たちにも否定的なので、いろいろ敵が多いんです」

―多くの人がホームレスについて知りたいと思うのは、彼らの日常とかパーソナリティ、なぜホームレスになったのか、ということでしょう。でも今、語られることといえば、「行政の支援」とか「若年層の貧困」といったトピックばかり。この本はその隙間を埋めるものだと思います。

「まあ、なんでこんなに取材するのかといえば、僕は彼らに親近感があるからなんです。僕はフリーランスのマンガ家なので、右腕を折ったら同じ境遇になりかねない。そうでなくても、きつい仕事から逃げ出したいなあって思ったりしますし」

―確かに、ホームレスになるってちょっと甘美な響きがあります。

「全然楽な生き方じゃないんですけどね。怪しい人たちに連れられて点数稼ぎ目的の変な手術を受けさせられた人もいます。食べていくのも楽じゃない。でも、楽しんでる人もいるし、普通の仕事が向いてなかったんだろうなあって人もけっこういるんですよね」

―今回の本に抗議は?

「まだ来てません。今回は大丈夫だと思うんですが……。発売当初、アマゾンの在庫が切れていたとき、980円の本なのに中古で1500円近くなっていました。ひょっとして、みんな今回も絶版になってプレミアがつくのを心待ちにしてるんでしょうか……?」

(撮影/高橋定敬)

●村田らむ




1972年生まれ、愛知県出身。ライター、マンガ家。『こじき大百科』(データハウス)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)、『ホームレスが流した涙』(ぶんか社文庫)、『東京Dスタイル食堂』(アクセス・パブリッシング)など、著書、発禁本多数

『ホームレス大博覧会』




鹿砦社 980円




14年間、体を張ってホームレスを取材し続けてきた村田氏によるコミックエッセイ。「攻撃タイプ」「酩酊タイプ」「黄昏タイプ」といったホームレスの詳細な分類もあり。付録にホームレストレーディングカードもついて、攻めています。「匂い立ってくる名著」、発禁を食らう前にゲットせよ!




 

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