ネット選挙では“バカになった者”が成功する

週プレNEWS / 2013年8月1日 10時0分

ネット選挙解禁は、はたして“日本政治の夜明け”となったのだろうか。

国政選挙としては、初めてインターネットによる選挙活動が解禁となった先の参院選。各候補者・政党が手探り状態で行動を起こすなか、37万人以上の「いいね!」を集める安倍首相のFacebook(FB)ページでは、ひとつのエントリーに数百ものコメントや、1万前後の「いいね!」がつく盛り上がりを見せた。

だが一方では、熱烈的な支持者と思われる人たちが、ライバル陣営のFBに攻撃的な投稿を行なうなど、“場外戦”も発生。より多くの有権者に自分の主張を伝えられる反面、ネガティブファクターも発生するという、ネット選挙の特性が浮き彫りとなった。

選挙関連データを扱うリサーチ会社でアドバイス業務を行なう投資家・ブロガーの山本一郎氏が、ネット選挙の現状を解説する。

「FBはファンページのようなもので支持者しか読まないので、プラスもマイナスも影響はないですよ。というより、実はそもそもウェブで投票態度を決めるという人自体が現状ではほとんどいないことも、各種分析によってわかってきています。選挙直前の調査では、日本で政治系のウェブページを検索・閲覧しているユニークユーザー数は、グーグルとヤフーを合わせて一日当たり65万人程度。そのうち約78%は投票行動が決まっているので、“浮動票”は約15万人。一日当たり約15万人が、政治に関心があって、誰に投票するか決めかねつつ、特定候補者の情報を検索している。たったそれだけなんです。国政選挙にインパクトを与えるような規模ではありません」

誰に投票するかを決めるため、各候補者のFB、twitter、またはHPをのぞいた人がどれくらいいただろうか。つまり、有権者の方がネット選挙をまだ使いこなしていないともいえる。

ネット選挙が、いずれ国政に多大な影響を及ぼすような日は来るのだろうか。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏は、こう予測する。

「ネットで大多数の国民が建設的な政策論争をするような日は、残念ながらこないと思います。結局、ネットというのはバカになれないと注目されない場所なんですよ。企業PRの分野では、十数年かかってみんながその境地にたどり着いた。直近でいえばドミノ・ピザがアメリカ人社長にひたすら日本語でダジャレを言わせているように、近年は各企業が競ってバカなことをやり、消費者の注目を集めようとしています」

注目されるには、ネット用語でいうところの「バズる」必要がある。そして、バズらせる最大の方法が「バカになる」ことなのだ。

「今回の選挙だと、公示前の話ですが、幸福実現党の矢内筆勝党首がキャスターの古舘伊知郎さんの“守護霊”と対決していました。いいか悪いかは別にして、あれくらい突き抜けないとネットでは面白がってもらえない。いずれ既成政党からも確信犯的にバカなことをする候補が出てくれば、ネット選挙が根づいてきたということになるのかもしれません」(中川氏)

だが、そうして選ばれた人たちが政治家になって日本の未来は明るいかというと、それはまた別問題だ。

(取材/コバタカヒト)

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