TPP交渉、日本は5品目の“聖域”を絶対に守れない

週プレNEWS / 2013年8月5日 10時0分

今年3月に安倍首相がTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の「交渉参加」を表明してからおよそ4ヵ月。7月15日から25日にかけてマレーシアで開催された会合で、ようやく日本が交渉のテーブルに着いた。しかし、大きな出遅れ感は否めない。

今回の会合の様子をその目で見てきた、アジア太平洋資料センターの内田聖子事務局長は、初参加の日本に厳しい評価を下す。

「安倍・自民は重要5品目(コメ、小麦、牛肉、豚肉、砂糖)の関税は撤廃させないと宣言しましたが、おそらくこの“聖域”を守ることはできないでしょう。確かに農産物5品目については、まだ交渉中で、遅れて交渉に参加した日本にもモノを言える余地が残されているのは事実です。しかしTPPは本来、例外なき関税の撤廃が唯一のルール。それを“9回裏”にひっくり返すチャンスなんて、ほとんどありません。そもそも3年間、17回も行なわれてきた交渉の場に、この時期になって加入するというのは通商交渉ではあり得ないのですから」

交渉を終え、鶴岡公二首席交渉官は「重要で困難な案件については、まだ各国に主張の開きがある。日本としては実質的な協議に参加することは可能だ」とコメントしている。ここでいう“重要で困難な案件”とは、重要5品目の“聖域”を指しているのは間違いなく、今後の交渉次第で日本の要望が通る余地ありと見ているわけだ。

しかし、前出の内田氏は首を横に振る。

「“農産物5品目”といわれていますが、これは正確ではなく、実際は“5分野”です。コメだけでも50品目以上あり、5分野の農産物をすべて合わせると600品目以上にもなります。それをすべて“聖域”として守るなんて不可能。本来なら、(1)絶対守るもの、(2)譲ってもいいもの、(3)段階的に譲るもの……といったように、3つぐらいのカテゴリーに分けて交渉の臨むべきですが、日本政府はその区分けすらしていない。『5品目を守る』というなら、せめて交渉に参加する時点でそうした作戦を立てるべきで、それすらできていないというのでは、どう考えても日本の本気度を疑わざるを得ません」

実際、鶴岡首席交渉官自身も「(交渉に)参加した回数としては厳しいのが客観的な事実(中略)。1回では(挽回は)厳しいかもしれないが、全力を尽くして後れを取らない形にしたい」「これまで各国の閣僚が合意した方針を受け入れなければ、TPPに参加できない。そこで示されているのは、(中略)包括的な自由化を高い水準で追求するということだ」と、日本が置かれている状況の厳しさも認めている。

そんななかで“聖域”を守りきれるのか。前途は多難だ。

取材・文/川喜田研

■週刊プレイボーイ33・34号「TPPをゴリ押しするアメリカの本当の狙い」より

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