解雇補償金制度が導入されると「カネさえ払えばクビ」にできる?

週プレNEWS / 2013年8月28日 10時0分

「給料1ヵ月分払うから、キミをクビにさせてくれ」――。そんなことが、近い将来、まかり通ってしまうかもしれない。

現行法では、従業員が解雇された場合、不当解雇を理由に提訴して“解雇無効”の判決が出れば、裁判所から「原職(職場)復帰」の命令が下されることになる。

ただ、裁判の過程でさんざん会社と争った関係上、現実には職場復帰せずに一定額の金銭を受け取って辞める従業員が大半だ。これを法的に認めようというのが、政府内で検討されている「解雇補償金制度」だ。

だが、導入された場合の問題点が3つある。

「まず、これは解雇をカネで買うことを容認する制度で、従業員の原職復帰の道を完全に閉ざすものとなります」(東京東部労働組合書記長の須田光照氏)

ふたつ目はクビの低コスト化。

「制度化されれば解雇解決金の水準が示されます。現状では従業員が会社側と最高裁まで争って勝訴すれば、判決確定までの賃金の支払いと将来の賃金相当分の支払いが会社側に命じられ、少なくとも3年分の賃金は確保できる。

しかし、この制度をすでに導入しているスウェーデン(勤続5年未満→月給6ヵ月分など)がそうであるように、制度化されると解決金の水準が低めに設定され、従業員にとっては現状より少ない金額と引き換えに解雇されることになります」(労働問題に詳しいジャーナリストの金子雅臣氏)

3つ目は解雇のモラルハザード。

「経営者の間に『金さえ払えばクビにできるんだ』という風潮が広がりかねません」(須田氏)

やはり、働き手にはどこまでも厳しいアベノミクス。“安定した正社員”という地位は、もはや過去のものになろうとしている。

(取材・文/興山英雄)

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