日本の農業の新しいカタチ「野菜くらぶ」とは?

週プレNEWS / 2013年8月27日 10時0分

日本の農業が持つ従来のイメージを打破し、発想を転換させることで未来モデルを実現する動きが各地で続々と起こっている。そのひとつが、「野菜くらぶ」だ。

地元農業法人である「野菜くらぶ」は、現在、全国3つの生産地(群馬、静岡、青森)で60人(法人含む)の登録生産者からなる畑(約415ha)の農作物を、モスバーガーや生協、大手スーパーなどと契約栽培している。多くの生産農家がまとまることで大量の契約栽培が可能となり、栽培面積拡大を実現してきた。

その運営には生産者自身も関わっており、農産物の販売や開発、独立支援プログラムの運営まで幅広く手がけている。

その設立経緯を、総務部部長の竹内明彦さん(48歳)が話してくれた。

「農家の多くは市場に作物を出すより自分で値段を決めて売りたいと思っています。でも市場を通さずにそれをやると、今度は個々の客からの要望やクレームに個人では応えきれなくなる。

そこで現在の取締役社長の澤浦彰治ら3人の農家が、まず農作物の販売専門の会社をつくろうと1992年に設立しました。これからの農業は個で動くのではなく、グループで動くべきことを示した先駆的な事例だと思います」

「野菜くらぶ」は有機栽培が基本の「安心・安全」もそうだが、最大のウリは「安定」供給だ。

「例えば、昨今の温暖化で群馬での真夏のレタスが質を落としても、北の青森から調達して確保する。逆に、群馬では冬に栽培できなくても温暖な静岡に頼れる。つまり、顧客に年間を通し安定した供給を可能にできるんです」(竹内さん)

さらに、新規就農希望者を積極的に支援していることも特色だ。「野菜くらぶ」でレタス部会長兼取締役として活動する、群馬県昭和村の野菜農家・竹之内光昭さん(49歳)が語る。

「若い人が農業をやる。それは顧客から見れば、今後数十年の安定出荷の保証を意味します。『野菜くらぶ』では新規就農希望者を研修生として寮も提供し、月12万円の生活支援費も支給、最長2年間受け入れています」

これまで9人が新規就農し「野菜くらぶ」の新たな生産者として活躍している。現在は4人の研修生がいるが、独立する際には「野菜くらぶ」が農地と販売先の確保をバックアップする。資金も最大で50%支援する。ただ個々の生産者や組織が拡大するのではなく、仲間であり同志を増やしていくのだ。

「僕自身、野菜くらぶに入ってからは人を雇いながら栽培面積も年収も5倍以上にしてきました。今、昭和村での登録生産者の年間売り上げは平均2、3000万円くらい。なかには1億円超もいます」(前出・竹之内さん)

日本の農業の新しい未来が「野菜くらぶ」のビジネスモデルにはある。

(取材/樫田秀樹)

■週刊プレイボーイ36号「12ページ特集 めざせ、ニッポンの元気な“農業男子”!!」より

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