アメリカがTPPのISD条項で狙う日本の制度はコレだ!

週プレNEWS / 2013年9月20日 10時0分

米ワシントンで18日から、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の首席交渉官会合が始まる。

日本のTPP参加で懸念されている問題はさまざまあるが、そのひとつが「ISD条項」だろう(ISD条項が危険視される理由は【http://wpb.shueisha.co.jp/2013/09/11/21821/】で)。

このISD条項の締結により、アメリカが狙ってくる分野とは何か。以下に列挙する。

1、エコカー減税と軽自動車の税優遇

TPPに先んじてFTA(自由貿易協定)をアメリカと結んだ韓国では、ISD条項こそ使われなかったものの、アメリカの圧力に配慮して低燃費車への税制優遇策導入を、自主的に2年間延期することを決めた。日本も同様の要求をされる可能性は高く、実際に軽自動車への増税がにわかに議論され始めている。

2、遺伝子組み換え(GM)食品の表示義務

TPP、あるいは日米2国間交渉の結果、アメリカの求めているGM食品の表示撤廃が合意されなかったとしても、GM種子などを手がけるモンサントなどの多国籍企業が「不当な差別だ」と考えれば、ISD条項を使って日本を訴えることもできるようになる。

その場合、判断の基準となるのは「アメリカの常識」だ。つまり、「遺伝子組み換え食品が本当に危険だと証明できないのならば、差別するのは不当」という理屈であり、「健康被害への不安や懸念」は理由としては認めてもらえない。

3、郵便貯金、かんぽ、共済マネー

アメリカの最大のターゲットは郵便貯金、かんぽ、各種共済などに眠る巨額のマネーだ。これを市場に引きずり出して、自分たちが手を突っ込めるようにするためには、文字通り「手段を選ばない」だろう。

それはアメリカの圧力で一方的に押しつけられた日本郵政とアフラックの提携を見ても明らかである。ISD条項があれば政府間の交渉をすっ飛ばし、企業が単独で日本政府を「不当な競争を強いている」と訴えることだってできる。また、そうしたISD条項の「潜在的脅威」がプレッシャーとなって、TPP交渉や日米2国間交渉に大きな影響を与えていることは言うまでもない。

4、郵政事業

国営のカナダ郵政公社が小包の宅配サービスで不当に特権を得ているとして、アメリカのUPS(ユナイテッド・パーセル社)がNAFTAの定める内国民待遇(国内と国外の業者を対等に扱わなければならないというルール)に違反するとして、カナダ政府を提訴。NAFTA内で、公共サービスを対象とした最初のISD提訴として注目された。

しかしICSIDはユニバーサルサービスを求められる「郵便」と「宅配サービス」とは同様であるとはいえないとして、UPSの訴えを退けた。このようにISDの裁定で常にアメリカの企業の主張が通るというわけではないが、わずか3人の仲裁人が裁定を下し、基本的に上訴もできないISDの仕組みでは、裁定の基準も明確ではないため、今後も民間よりも安価なサービスを提供する国営企業が「不当な特権」として提訴のターゲットとなる可能性は高い。民営化されているとはいえ、ユニバーサルサービスを支える日本の郵政事業も当然、多国籍物流企業に狙われているはずだ。

(取材/川喜田 研)

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