異常豪雨で都市部の排水システムは限界域を超えている

週プレNEWS / 2013年9月24日 19時0分

都内で浸水の危険性があるとして名前の挙がる渋谷駅周辺。近年の記録的豪雨は、従来の排水システムでは対応しきれないという

京都をはじめ全国に甚大な被害を及ぼした台風18号に続き、台風20号も日本列島に接近中だ。

今年は異常ともいえる豪雨が続いている。これから本格的な台風シーズンを迎えるにあたり、人口が密集する都市部の豪雨対策について、防災システム研究所所長で防災・危機管理アドバイザーの山村武彦氏が警鐘を鳴らす。

「日本はこれまで、1時間当たりの降水量の最大値を50mmとして排水溝の整備を行なってきました。しかし、近年では50mmどころか、100mmをはるかに超える雨量の豪雨が日本を襲っています。

例えば、今年7月に山口県で発生した豪雨は、1時間当たりの降雨量が137.5mmでした。そして8月には秋田県で105.5mmの豪雨が起こり、9月には高知県で116.0mm、岐阜県で108.0mmを記録しています。また、大阪では10分間で27.5mmのゲリラ豪雨を記録しました。これは1時間当たりで換算すると165mmになります。日本の排水システムは、すでに限界域を超えているのです」

となると、排水できなかった雨水はどうなるのか。

「これまでの排水溝の整備は、河川が氾濫することを前提にしていました。そのため河川の整備は進み、現在、河川自体の氾濫は少なくなっています。代わりに都市に降った雨が、その排水能力を超えて氾濫する内水氾濫が頻発しているのです」

では、その都市部での浸水で一番危険な場所はどこか。

「一番危険なのは地下街、地下鉄などの地下空間です。1999年6月、福岡県を襲った豪雨で地下街が浸水し、逃げ遅れた女性店員がひとり亡くなっています。また同年7月、東京・新宿でも地下室の浸水を見に行った男性が死亡しました。地下鉄の麻布十番駅や渋谷駅などは、これまでに何度も浸水しています。これは止水対策が完全ではないからです。

例えば、地下鉄や地下街の入り口に止水板を設けたとしても、通気口などから浸水する可能性があります。また、排水溝などからも雨水が逆流して浸水してくることもあります。こうなると、今度は止水板が入り口を塞いで、地下街の中にいる人が外に出られなくなってしまいます」

なんとも恐ろしい話だが、助かる方法はある?

「豪雨のときは地下街に行かないというのが一番安全ですが、もし浸水し始めたら“横に避難する”ことです。横とは地下街に隣接するビルなどの出口を使うということ。地上から流れ込む濁流が15cmになると階段を上がることは困難です。ですから、連結しているビルの水の流れていない階段を上って逃げることです。普段から、地下街に入ったときにどのビルと連結しているか確認するクセをつけておくといいでしょう」(山村氏)

東京都建設局が発表している「洪水ハザードマップ」によると、豪雨時(1時間に114mmの降雨量などがあった場合)には、渋谷駅周辺や北新宿、港区の高輪、西麻布などの低地では2m程度の浸水の危険性があるという。

「地上でも濁流の中をむやみに移動することは危険です。道路が浸水していれば、マンホールや側溝のふたが外れている場合があり、そこに落ちてしまいます。実際にマンホールに落ちて溺死した例もあります。どうしても移動しなければならない場合は、傘を安全な場所を確認する探り棒として使いましょう」

都市部では、河川だけでなく地下街でも氾濫が起こることもあることを覚えておきたい。

(取材協力/久野 勇)

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