「忘れられる権利」について、真剣に考える時期にきている

週プレNEWS / 2013年10月22日 6時0分

「利用者には『漏洩しない情報はない』という自覚が必要」と語る岡嶋裕史氏

『個人情報ダダ漏れです!』は、「会社でアダルトコンテンツを検索したら、バレますか?」「個人情報漏洩ってそんなに起こるものですか?」など、Q&A形式で“スマホ時代の個人情報漏洩リスク”をわかりやすく解説した指南書だ。

著者である関東学院大学准教授の岡嶋裕史氏に、執筆の動機、そしてこれからの個人情報の取り扱いはどうあるべきかを聞いた。

―「個人情報」というテーマを手がけようと思ったのは、どうしてですか?

「まず、自分でもPCやスマホを使っていて、怖くなったことがきっかけです。いま、世の中の多くの人がスマホを持ち、フェイスブックやツイッターに代表されるSNSを使っています。でもそうしたコミュニケーションサービスの利用は、個人情報の公開と表裏一体なのです」

―フェイスブックを例にとると、初期設定ではいろんな情報が公開されることになっていますね。

「そうなんです。何も知らない人がそのまま使い始めるにはちょっと危険ですよね。そして、その設定を変更したいと思っても、メニューがすごくわかりにくくなっています」

―それは、わざとそうしているんでしょうか?

「そうでしょう。狙っているとしか思えません(笑)。もちろん、さまざまな情報をオープンにして、利便性を向上させようという思想はわかるんです。個々のユーザーのプロファイリングが進むことでサービスは向上しますし、全体最適にもつながりますから。でもそれが個人にとって好ましいかというと別問題です。世の中の傾向としてそうなっていくのはもう止められませんが、何も知らずにいるのはどうかと考え、こうした柔らかいスタイルの本でご紹介しようと思ったのです」

―では、そうしたSNSを活用していく上で、利用者が注意しなければならないことは?

「ポイントは、どんなコミュニケーションツールでも、使っているうちに『これはプライベートなもの』と誤解してしまうところにあります。自分がつながっているのは友達のネットワークだけじゃなくて、インターネットという広い世界なんだということを忘れずにいることが大切でしょう」




―そうした自覚がないから、不適切行為をツイートする“バカッター”が後を絶たないわけですね。

「もし彼らに『仲間内の掲示板で不用意な発言をして恥をかいた』などの“小さな失敗”があれば、断片的にでもネットの怖さがわかり、『こんな書き込みをしたらどうなるか』が想像できたはずです。でも、騒ぎの火元となったユーザーには、そんな経験がなかったのでしょう。そして本当に怖いのは、そうした個人を特定する情報にひもづけられる関連情報です。いったん“炎上”してしまったら、個人の趣味や嗜好まで全世界にさらされます。ひとつのアカウントでさまざまな情報を管理すると便利ですが、いったん漏洩すると自分が容易に丸裸になってしまう。難しいところです」

―今後、個人情報の保護という部分では、どんな対策が求められているのでしょう?

「現在は、法律などの整備が追いついていません。そのため、いったん流出してしまった個人情報の広がりを食い止めることができないのです。利用者には『漏洩しない情報はない』という自覚が必要でしょう。その一方で『忘れられる権利(ネットに流出した情報などの削除を求める権利)』について、真剣に考える時期にきていると思います」

(取材・文/植村祐介 撮影/岡倉禎志)

●岡嶋裕史(おかじま・ゆうし)




1972年生まれ、東京都出身。中央大学大学院総合政策研究科博士後期課程修了。富士総合研究所勤務を経て、関東学院大学経済学部経営学科情報部門准教授。ほかの著書に『ハッカーの手口 ソーシャルからサイバー攻撃まで』(PHP新書)など

■『個人情報ダダ漏れです!』




光文社新書 777円




「会社でアニメのサイトを見たらバレた」「デジカメ写真からカラ出張がバレた」「ツイッターの書き込みから自宅を特定された」など、身近な“個人情報あるある”をQ&A方式で構成。なぜそうしたことが起こるのか?を仕組みからわかりやすく解説する




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