タックスヘイブンを暴いた「国際調査報道ジャーナリスト連合」の極秘データとは?

週プレNEWS / 2013年10月22日 10時0分

今年5月、ロンドンに本部を置く「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)によって、260GBもの極秘ファイルがリークされた。

それは、タックスヘイブン(租税回避地)に登記された企業情報。世界の富裕層や大企業が“税金逃れ”のために資産を移すタックスヘイブンの現状を暴いた秘密ファイルが、ICIJのサイト『オフショア・リークス・データベース』で公開されたのだ。

そのなかにはフィリピンの故・マルコス元大統領の娘(現・フィリピン北イロコス州知事)ら世界の富豪の取引記録のほか、日本人も計424人分の個人情報がズラリ。

例えば、東京都在住のイニシャル“K”という人物(同サイトには番地・建物名・部屋番号までの住所と実名が記載)。グーグルアースで確認すると、その住所には都内でも有数の高層マンションがあり、さらに調べを進めると、不動産投資やアフィリエイトで年収ン千万円を稼ぎ出す40代の男性と同姓同名であることが判明。年収1000万円以上稼ぐための副業術を指南するブログを運営していることもわかった。

ほかにも、広告代理店や投資会社の社長や重役など、主に大都市圏に居を構える富裕層と同姓同名の人物がボロボロ……。著書に『タックス・ヘイブン 逃げていく税金』(岩波新書)がある弁護士の志賀櫻氏も日本人の多さに驚く。

「これはアメリカ、イギリス、オーストラリアの税務当局も入手し、調査を進めているファイルなので、信憑性は高いと言えます。これだけの数の日本人が含まれていたのには驚きましたが、彼らの多くは税金逃れのためにタックスヘイブンの銀行口座に所得を隠したり、守秘義務が守られた場所を拠点にヘッジファンドなどに投資している可能性が高い。実名と詳細な住所まで把握されてしまって、国税庁の手が及ばないかと今頃は戦々恐々としているのでは……」(志賀氏)

さらに調べを進めると、大手商社の取締役や事業部長ら数名の住所が上がっていることを確認。「オフショアリークス」によれば、この会社はマレーシアのラブアン島にある「ミルメラン・インベストカンパニーVI」という投資会社と関係があり、その先をたどっていくと、オランダにある東北電力の子会社「トーホク・パワー・インベストメント・カンパニー」とつながっていることがわかった。東北電力・広報部が説明する。

「まず、弊社では、2002年10月にオランダ・アムステルダムに100%出資の子会社を設立しました。この子会社を通じて、丸紅所有の投資会社のひとつ、ミルメラン・インベストメント・カンパニーVIに30億円を出資し、オーストラリアのクイーンズランド州のミルメランで展開されるIPP事業(石炭火力発電所の運営)に参画しています。同事業への出資、および配当金の効率的な運用などを業務として行なっているもので、日本国内における租税回避を目的としたものではありません」

こうした説明について、国際問題アナリストの藤井厳喜氏は言う。

「私の解釈ですが、オランダには海外法人に対して配当や株式譲渡益が100%非課税になる優遇税制があり、ラブアン島はブラックリスト入りした法人税無税のタックスヘイブン。ですから、そこに配当金などの利益をプールする目的であることは間違いないと思います。つまり、日本の高課税を逃れるための節税対策の一環。でなければ、わざわざオランダやラブアンを経由する意味がない」

東北電力のスキームも、あくまで合法的な節税。とはいえ、消費税増税に戦々恐々としている一般市民にとっては腑に落ちないのも事実だ。

(取材/興山英雄)

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