警察による携帯電話の「盗聴」が拡大している

週プレNEWS / 2013年11月14日 12時0分

携帯でやりとりする情報は、「誰か」に見聞きされる危険性が高いことを知っておくべきだ

99年に世論の強い反対を押し切って制定された通信傍受法。薬物犯罪、銃器関連犯罪、集団密航、組織的に行なわれた殺人の捜査に限っては捜査機関に通信傍受が許されており、捜査機関が裁判所に傍受令状を請求し、発付されれば、立会人のもと、令状が指定する場所で10日間以内(最長30日)の傍受活動が行なえるようになっている。

そして今、この通信傍受の制度が改変されようとしている。弁護士の海渡雄一氏がこう話す。

「法務省の中に刑事司法制度特別部会が設置され、今年7月にはまさに盗聴制度の変更についての話し合いが行なわれました。

方向性としては、まず盗聴捜査の適用拡大。現行の重大犯罪だけでなく、振り込め詐欺や児童ポルノ関連、高金利による脱法行為などのヤミ金関連、外国人窃盗団など、発生件数が極めて多い組織犯罪への適用が捜査側から主張されています。

主張どおりに対象犯罪が拡大されれば、警察による盗聴件数は激増するに違いありません。件数が増えれば盗聴法を大胆に適用するでしょう。そうすると、これまで以上に強引な盗聴捜査を紛れ込ませやすくなります」(前出・海渡氏)

“これまで以上”とはどういうことか? 海渡氏が続ける。

「法務省が国会で報告した統計によると、通信傍受法の適用件数は年々増加し、警察による令状の請求件数も急増。2000年、01年と0件だったのが、10年に34件、11年は27件まで増えました。盗聴の対象はすべて携帯電話です。

裁判所は警察が請求した傍受令状に対し、100%の確率で発付し続けています。盗聴捜査が初めて適用された02年から10年まで、9年連続100%。裁判所は警察の要請を一度も拒まなかった。本来、裁判官は人権擁護のための歯止めとなるべき存在なのに、警察の盗聴に一度もブレーキがかからなかったわけです」

それは、盗聴を行なおうとする警察の捜査判断が“すべて正しい”ことが前提になる。だが、実態はそうではない。

「警察が行なう盗聴には、犯罪無関係盗聴があります。その名のとおり、犯罪とまったく関係のない会話を盗聴することですね。02年に盗聴会話総数は256回でしたが、そのうち、犯罪無関係盗聴は195回(76%)。06年には7161回中、6163回(86%)。11年には91%にまで達しました。そこには、犯罪と無関係な一般市民の会話もかなり含まれていた可能性もあるということです」(海渡氏)

冒頭の盗聴制度の変更は、対象犯罪の拡大だけではない。もっと恐ろしいのが、導入が検討されている新傍受システムだ。

「現行では、警察が通信傍受をする際は、携帯会社の敷地内で、携帯会社側の立会人が必要でした。これを立会人不要で、しかも捜査機関の施設内で専用装置を使った通信傍受を行なえるように変えたいと捜査側は主張しています。これには、立ち会いの労力を省けるキャリア側もおおむね好意的。

しかし、これがそのまま導入されてしまうと、犯罪に無関係な人の通信を傍受させないための監視役(キャリア側の立会人)がいなくなり、しかも、自前の傍受装置を署内に設置した上で、捜査員だけで盗聴を行なえるという環境が生まれてしまいます。今まで以上に“盗聴し放題”な状況になることは間違いありません」(海渡氏)

犯罪を犯した人物だけでなく、「犯罪を犯す恐れがあると“警察に判断された”人物」の通話も盗聴し放題。日本国憲法で保障された「通信の秘密」は守られているのだろうか。

(取材/興山英雄、取材協力/小峯隆生、世良光弘)

■週刊プレイボーイ46号「日本人のメール・携帯はここまで傍受されている!!」より

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