加藤嘉一「どれだけ逆風にさらされていても、共和党は死んではいません!」

週プレNEWS / 2013年11月18日 13時0分

財政問題への強硬姿勢から、すさまじいバッシングにさらされた米・共和党。しかし、時流が変われば、彼らはまた必ず息を吹き返してくるはずです。

アメリカでは、議会で国家財政を“人質”にとるような強硬戦術を続け、政府機関の閉鎖や米国債のデフォルト危機を招いた共和党へのバッシングが続いています。共和党の支持基盤は、主に富裕層・中間層の白人ですが、今回の問題では「支持層の利益を強硬に代弁しようとするあまり、かえって彼らの信頼さえも失ったのではないか」とも指摘されています。

共和党には、もっと長いスパンで考えなければならない深刻な問題もある。現在のアメリカの総人口における白人の割合は65%ですが、これが2030年には55%になり、40年から50年にかけて50%を割り込むと予測されています。移民社会のアメリカでは今後、ヒスパニックや黒人、アジア系などに押され、白人がマジョリティの座から降りるときが来るかもしれないのです。

現状、アメリカの移民層にはリベラルな民主党の支持者が多い。これは保守主義・新保守主義の立場をとる共和党にとって脅威以外の何物でもなく、党内では移民法の改正問題について協議を続けています。まだ党としてのコンセンサスはとれていませんが、以前は不法移民に恩赦的な待遇を与えることに反対していた議員の多くが、現在では態度を180度変え、移民との“融合”を容認しているようです。

そもそも移民の受け入れには労働力の確保という意味もあり、安易に規制できるものではない。そして何より、アメリカには「アメリカンドリーム」という確固たる思想がある。均等に与えられる機会を生かし、努力によって成功をつかみとる権利こそ建国以来の“アメリカの象徴”であり、保守を自任する共和党にとっては目を背けられない十字架となっています。

しかし、こうした背景があってもなお、ぼくは共和党の未来にあまり悲観的ではありません。




ティーパーティに代表される個人主義的主張、あるいはアメリカ例外主義・孤立主義を標榜する共和党は、世界的な潮流から見れば時代錯誤という印象さえあるかもしれない。しかし、それこそがアメリカのアメリカたるゆえんだとぼくは考えます。実際、共和党支持者でなくても米国民の多くは「アメリカはナンバーワンで、特別な存在だ」と思っているのですから。

ぼくがアメリカに来て感じたのは、民主党と共和党は日本でいえば早慶戦のようなものだということ。勝った、負けた、を繰り返し、互いにライバルとして競うことで、政治が「いま」に合う形に成熟し、未来を形づくっていく。

だからこそ、「将来的には民主党だけに票が集まり、共和党がパージされ、二大政党制が崩壊する」というような予測は当たらないとぼくは思う。白人の人口比率が50%を切るような時代になれば、共和党もそれに合わせて変化していくことでしょう。全国各地に多様な文化と格差を包括するアメリカの二大政党制は、現存するあらゆる政治システムのなかで最も合理的で、かつ持続可能な形態なのです。

おそらくそう遠くない将来、中国などアメリカ以外の国がさらに力を持ち、国際社会で台頭することになるでしょう。そうして米国民が危機感を募らせたとき、力を持つのがナショナリズムです。国民の間で愛国心が高揚するような状況下では、共和党が多くの支持を集めるに違いありません。

仮に共和党が今後しばらくの期間、大統領を輩出できず野党でいつづけたとしても、それが健全な政党政治にとって不可欠な“強大な野党” であることは間違いありません。一方、現在の日本を見れば、政権与党と対峙できるような強大な野党など影も形もない。こんな状態で正常な国家運営ができるというなら、その理由を逆に教えて!!

●加藤嘉一(かとう・よしかず)




日本語、中国語、英語でコラムを書く国際コラムニスト。1984年生まれ、静岡県出身。高校卒業後、単身で北京大学へ留学、同大学国際関係学院修士課程修了。2012年8月、約10年間暮らした中国を離れ渡米。現在はハーバード大学アジアセンターフェロー。最新刊『不器用を武器にする41の方法』(サンマーク出版)のほか、『逆転思考 激動の中国、ぼくは駆け抜けた』(小社刊)など著書多数。中国の今後を考えるプロジェクト「加藤嘉一中国研究会」も始動!

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