セルジオ越後の一蹴両断! 第332回「ようやく日本代表内に競争原理が働き始めた。それが欧州遠征の収穫だ」

週プレNEWS / 2013年11月28日 14時0分

強豪のオランダ、ベルギーと対戦した日本代表の欧州遠征、そこで大きなサプライズがあった。ザッケローニ監督がこれまでこだわり続けてきた“不動のメンバー”に大きく手を入れてきたことだ。

初戦のオランダ戦でFW柿谷の代わりに大迫(おおさこ)、MFの香川と遠藤の代わりに清武と山口、GK川島の代わりに西川を先発で起用。続くベルギー戦も従来と異なるメンバーで臨んだ。

正直、戦術的な狙いや意図はわかりにくい変更だったけど、10月のセルビア戦、ベラルーシ戦に連敗した後、ザッケローニ監督はかつてないほどメディアの批判にさらされた。

僕以外の解説者やメディアからも「監督を更迭しろ」という声がたくさん上がった。また、オランダ戦の試合前には、スタンドに詰めかけたサポーターが監督や選手を批判する横断幕をたくさん掲げていたそうだ。そんな周囲の空気の変化を察知し、さすがに何かを変えないとまずいと考えたんじゃないかな。その判断がポジティブに働いた。

オランダ戦では、チャンスを与えられた大迫が1得点1アシストと目立った。彼は高さと技術を兼ね備えた万能型のストライカー。ポストプレーをそつなくこなし、前線からの献身的な守備もできる。最近、代表に呼ばれなくなった前田と似たタイプの選手だ。

また、2戦とも先発したボランチの山口は遠藤や長谷部よりも運動量が豊富な、守備が持ち味の選手。負担が大きく、戦術的に重要なポジションだけに、彼の起用に一定のメドが立ったのは収穫といえる。




もちろん、今回の欧州遠征だけで彼らを評価するのは難しい。やたらと持ち上げるべきではない。でも、彼らが次もチャンスをもらえる権利を得たのは間違いないし、何よりほかの選手にとって大きな刺激になった。

サブ組や今回代表に選ばれなかった選手たちは「次は俺が」とモチベーションが上がり、“不動のメンバー”は「うかうかしていられない」という危機感を持ったはず。それは例えば、オランダ戦でスタメンから外れ、後半から出場した香川、遠藤のプレーを見ればわかる。いつもより必死さが伝わってきたし、あらためて真価を見せた。

オランダ戦の後半に決定的なチャンスを逃した柿谷も同様だ。それまで自分のところに集まり、「天才」と持ち上げていたマスコミが、みんな大迫のところに行ってしまったわけだからね。精神的にはかなりつらい状況に追い込まれただろうけど、続くベルギー戦でしっかりと得点を決めた。

そして、試合後の選手たちのコメントにも変化が表れた。これまでは「修正したい」などと、次の試合も自分が出場することが前提というコメントが多かったけど、あの本田でさえ「レギュラー争いが激しくなる。自分も安泰ではない」と言うくらいだ。

いずれにしても、今回の欧州遠征で、これまでチーム内に損なわれていた競争原理が働き始めたのは間違いない。これが代表チームの本来あるべき姿だ。

ただ、惜しむらくは今後、来年3月まで日本代表の強化試合がないこと。いまさら言っても仕方がないけど、3連敗した6月のコンフェデ杯後など、チームにそうした変化をもたらせる機会はこれまでいくらでもあった。なのに、ザッケローニ監督は手を打たず、メディアやファンも声を上げてこなかった。後悔先に立たず、とならなければいいのだけど。

(構成/渡辺達也)

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