NSCと特定秘密保護法で日本が「警察支配国家」になる

週プレNEWS / 2013年11月28日 10時0分

27日の参議院本会議で創設法案が可決、日本版NSCと呼ばれる「国家安全保障会議」が、いよいよ来週から始動する。

日本政府の外交・安全保障政策の司令塔となるNSC。総理大臣、官房長官、外務大臣、防衛大臣の4者会合を中核に、これまで縦割りだった各省庁の情報を一元化。情報収集・政治決定のスピードを上げて有事に備えるのが目的だ。

そして、このNSCと同時に安倍政権が成立を急いでいるのが、現在、衆議院を通過し、参議院で審議中の「特定秘密保護法案」だ。行政機関が指定した特定秘密を漏らしたり、知ろうとした人に重罰を科すことが可能になるこの法律。どちらも国家の安全保障に関する重要な法案だが、なぜこの2つはセットになっているのか?

自衛隊で軍事インテリジェンスを担当し、韓国に防衛駐在官(防衛省から外務省に出向した自衛官)を務めた経験もある元陸将・福山隆氏が説明する

「第一に、日本は軍事情報を米国に頼っています。しかし、米国が秘密に指定している情報を日本に提供し、これが漏れてしまえば、米国の国益を損なうことになる。アメリカは、日本の情報漏洩についてかねがね懸念していましたが、NSC設立を機に、日本に国家情報の秘密保護の強化を促しているものと思います。

第二の理由は、国内情報機関の情報活動を秘匿する必要からでしょう。新聞記者の活動がすべてオープンにできないのと同じ理由(情報源を危険にさらす、情報源から信頼を失うなど)です」

しかし、特定秘密保護法案の運用方法については懸念も少なくない。ジャーナリトの青木理(おさむ)氏はこう語る。

「実は秘密保護法案を作成しているのは内閣情報調査室なんです。そして、この法案が定めた特定秘密の4分類(防衛、外交、特定有害活動[スパイなど]の防止、テロ活動防止)の中で、警察が関係するのは、特定有害活動の防止、テロ活動防止のふたつ。

では、その情報とは具体的に何かというと……書いてない。考えてほしいんですが、『テロ防止』などという理屈を掲げたら、警察関連の大半の情報が秘密にされてしまいます」

どういうことか? 実は、内閣情報調査室のトップ・内閣情報官は歴代、警察関係者で占められているのだ。170人ほどの職員の中で約90人の生え抜き職員以外は各省庁からの出向者で構成されているが、そのなかの40~50人が警察庁の人間。さらに、特定秘密を指定するのは「行政機関の長」となっているが、そのなかには外相や防衛相だけでなく警察庁長官も含まれる。つまり、特定秘密の指定には、警察庁の意向が大きく反映されることが予想されるのだ。

青木氏が続ける。

「大臣が秘密指定するといっても、実質的には各省庁の官僚が主導権を握るでしょう。なかでも警察は、自らに不都合な情報をなんでもかんでも特定秘密に指定してしまいかねない。『テロ防止』のためだといえば、それは十分に可能です。

特定秘密の取り扱い者の適性評価をするという名目で他省庁の幹部を調べ上げ、他省庁を牽制するなんていうことも起きる……もちろん仮定の話ではあるのですが、日本の警察はそういう行動をしかねない組織です。現状、秘密保護法という玩具を手に入れた“権力”が暴走したときに“制御”するシステムはありません」

ちなみにこの秘密保護法は、国家公務員だけを対象にしているかのように見えるが、そうではない。同法案では、「特定秘密」を取り扱う民間人まで身辺調査を行ない、調査対象は家族や友人にも及ぶのだ。

「警察がその権能を悪用、情報世界全体の主導権を握り、偏った方向に独走することを防止するシステムについて研究する必要があるでしょう。日本版NSCの設立に伴う特定秘密保護法案の制定を機に、日本が『警察支配国家』になるという究極の悪夢が実現しないことを祈ります」(前出・福山元陸将)

特定秘密保護法案は、現在、チェック機能を持つ第三者機関の設置について参議院で審議されているが、NSC設立法案に続き、半ば強引に採決されてしまう可能性も高い。

(取材/小峯隆生、取材協力/世良光弘、興山英雄)

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