加藤嘉一「2014年は各国が本気で動き出す。その駆け引きに注目です!」

週プレNEWS / 2014年1月14日 14時0分

日本、アメリカ、中国。それぞれの政権にとって、2014年は果たしてどんな年になるのか。ひとつの“見方”を示したいと思います。

皆さん、あけましておめでとうございます。2014年もアメリカと中国を拠点に、日米中の3ヵ国を中心とした国際情勢を現場からウオッチしていきたいと思います。

前回述べたとおり、12年末から13年にかけては多くの国で新政権が発足し、各リーダーはリスクを極力避けつつ権力基盤を固めてきました。その意味で、今年は各リーダーの個性や主張がより前面に出てくると予想されます。

長期政権となる可能性が高い日本の安倍政権にとっても、真の意味でスタートの年です。4月の消費増税に加え、おそらくTPP交渉が合意に至る。経済面ではアベノミクスの成否もいよいよ見え始めてくる。2020年東京五輪というわかりやすい“目標地点”に向けて、「戦略国家」を追求していくべきです。

経済成長モデルの転換を改革の要に据える中国の習近平(しゅうきんぺい)政権は、外交面にも力を入れてくると思われます。

これまでの中国外交には一種の“曖昧さ”がありました。強硬的手段に出たかと思えば、腰が引けることもある。大国に対して居丈高(いたけだか)に出たかと思えば、場面によっては「発展途上国だから」と言い訳をする。このアンビバレントな(相反する)姿勢があらゆる臆測を呼んできた。

しかし、内政・外交両面において“ハードライナー”である習主席の基盤が強固になれば、より積極的な施策を打ち出す可能性もある。尖閣問題や南シナ海問題など周辺国家との摩擦が続くなか、昨年秋には習主席自らが「周辺外交座談会」を主催するなど、戦略を綿密に調整している様子がうかがえます。

影響力の低下を指摘されているオバマ大統領率いるアメリカも、まだまだ“武器”を持っているという印象です。昨年秋には一時、財政問題の影響で政府機関が閉鎖するという事件もありましたが、08年のリーマン・ショックの頃から比べれば経済は改善している。




量的緩和の縮小決定など、その経済政策には依然として世界的な注目が集まり、現実に市場も反応している。長年の課題である中東問題に関しても、ケリー国務長官の「積極的介入」もあって一定の成果を挙げている。

防空識別圏の問題では迅速に対応したアメリカですが、特に経済面での相互依存関係を考えると、中国との関係は中長期的に安定させていくしかない。となれば、対日関係についてもますます「中国」の存在を前提にマネージしていくはずです。

こうした理由から、日米中という枠組みにおいても、2014年はダイナミックに政治が動くでしょう。ただ、各国のアクションを短期的な視座で評価しては本質を見誤る。2016年に日本(衆議院選挙)とアメリカ(大統領選挙)、2017年には中国(共産党大会)で政権が動きます。その“リミット”へ向けた3国の駆け引きに注目です。

ところで今年、ぼくが日米中以外で注目している国が5つあります。民主化プロセスが動き出し、経済的潜在力が高く、日中が主導権をめぐって競い合うミャンマー。債務危機で混乱する欧州において孤軍奮闘するドイツ。北東アジア初の女性リーダーを擁し、日本にとって“新しいリスク”となりつつある韓国。サッカーW杯の開催年で、2年後にはリオ五輪も控えるブラジル。そして、国際社会で圧倒的な存在感を示すプーチン大統領率いるロシアです。

特にロシアは冬季ソチ五輪開催、潤沢なエネルギー資源、中国の不透明な台頭、アメリカの相対的衰退、欧州の混乱、不安定な中東情勢……など諸要素を考えると、今年のキープレイヤーになり得る。プーチン大統領は日本の戦略的重要性を冷徹に見ているので、こちら側からも大胆なボールを投げていくべきでしょう。

2014年、日本の真価が問われないというなら、その理由を逆に教えて!!

●加藤嘉一(かとう・よしかず)




日本語、中国語、英語でコラムを書く国際コラムニスト。1984年生まれ、静岡県出身。高校卒業後、単身で北京大学へ留学、同大学国際関係学院修士課程修了。2012年8月、約10年間暮らした中国を離れ渡米。現在はハーバード大学アジアセンターフェロー。『逆転思考 激動の中国、ぼくは駆け抜けた』(小社刊)など著書多数。中国の今後を考えるプロジェクト「加藤嘉一 中国研究会」も始動!




http://katoyoshikazu.com/china-study-group/

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