震災から3年。「汚染水漏れ事故」に慣れてしまうことの危険性

週プレNEWS / 2014年3月11日 6時0分

2月20日、福島第一原子力発電所で深刻な汚染水漏れ事故が起きたことが発表された。

汚染水をためるタンクからあふれ出した水の量はおよそ100トン。それも、ベータ線を放出する放射性物質を1リットル当たり2億4000万ベクレル含んだ、超高濃度の汚染水だ。

単純計算で、漏れ出した水に含まれる放射性物質は24兆ベクレル。これは、どのくらいの数字なのだろうか? 京都大学原子炉実験所の小出裕章助教に聞いた。

「広島型原爆1個がまき散らした放射性セシウムの量がおよそ89兆ベクレルです。ストロンチウムの量はそれより少し少ないぐらいと考えればいいでしょう」

原爆1個分よりは少ないとはいえ、とんでもない量であることは間違いない。放射線が環境に与える影響について詳しい琉球大学の古川雅英教授は、今回の事故を次のように危惧する。

「実際に汚染水がどのような形で漏れたのか、詳しい状況はわかりませんが、仮に地面に漏れたのであればそれなりの範囲と深さで土壌に吸収されているはずです。当然、現場の放射線量も高く、それが作業にも影響するので、汚染された土壌を完全に取り除くのは容易ではありません。また、汚染が原発の敷地内にたまっていればいいのですが、海に流れ出る可能性もゼロとはいえないでしょう」

まさに、復旧作業に大打撃を与える深刻な事故といえるだろう。だが、こうした重大な事態にも、世間の反応がそれほど大きなものとは感じられない。

福島第一原発で大規模な汚染水漏れが起こったのは、これが初めてではない。東京オリンピックの招致活動が大詰めを迎えていた昨年8月にも、やはりタンクから約300トンの高濃度汚染水が漏れ出して大きな話題になった(漏れ出した汚染水に含まれる放射性物質の量は当初、1リットル当たり8000万ベクレルと発表されたが、今年2月に入ってその10倍の1リットル当たり8億ベクレルに修正された)。

また、昨年4月には地下貯水槽から約120トン、10月には施設内の淡水化処理装置の配管から約11トンが漏れ出し、作業員6人が被曝……と、ここ1年だけに限っても、ほぼ毎月のように新たな「汚染水漏れ」が明らかになっている。今ではそんな状況にすっかり慣れてしまい、「汚染水漏れ程度」では驚かないという人も多いのではないだろうか。

だが、今、こうしている間にも、福島第一原発では大量の汚染水が発生し、貯蔵タンクに収められた汚染水が今や40万トンを超えている。そして一部の汚染水が地下水を通じて、海へと流れ続けている。

事故から3年がたち、当時の記憶も薄らいでいく。本当に怖いのは、こうした現実に日本人が“慣れっこ”になってしまうことかもしれない。

(取材/川喜田 研)

■週刊プレイボーイ12号「『3年後の世界』に生きる自分への素朴な疑問 『汚染水ダダ漏れ報道』に慣れてしまった自分と世間は大丈夫!?」より

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