天才プログラマーが予見する未来「やがて全人類がプログラミングする社会になる」

週プレNEWS / 2014年4月22日 6時0分

「プログラマーという職業はなくなると思います」と予測する清水亮氏

天才、という肩書は、決して比喩や身内からの称賛ではない。清水亮は、経産省の外郭団体によって正式に「天才プログラマー/スーパークリエイター」と認定された、スゴ腕のプログラマーだ。

そんな彼が、万人に向けてプログラミングの有用性を説いた『教養としてのプログラミング講座』を刊行した。

―プログラミングとは、主にコンピューターの世界で使われる用語ですが、この本には意外にも“IT”という言葉がほとんど出てきませんね。

「それは当然です。プログラミングの語源は、古代ギリシャ語の『プログランマ』という単語で、これは『法令や宗教的儀式などで人を動かすためのルールを記した文書』を意味します。僕もそれにならって、プログラミングを『自分以外のものを、思いどおりに動かす方法』と解釈しました。そう考えると、子供におつかいを頼むことだってプログラミングだし、大企業で何万人もの人々を組織することも同様です」

―現実世界にあるさまざまな課題が、プログラミングという視点から考察し得るということでしょうか。

「そうです。例えば、織田信長が『長篠の戦い』で採用した鉄砲の三段撃ちという戦術も、プログラマーの目で見ると『あれはバッファリング(データを一時保存して、効率よく出力する方式)をやってるんだな』とすぐにわかる。そしてその仕組みをプログラミングとして抽出できれば、さまざまなことに応用が利くんです。

プログラミングの利点は、物事をモデル化し、シミュレートできること。僕は中学生の頃から〈人はどんなときに異性に好意を持つか〉という仕組みをプログラム化し、『恋愛シミュレーター』なるものを作っていました(笑)。今でも、〈自分が(新宿)ゴールデン街に行きたくなる動機〉をプログラムで書き、お小遣いの使い道を検討したりしています。そうすれば、『この場合、5ヵ月でお金が尽きるな』など客観的にわかるわけです(笑)」




―つまり、未来の状態を予測できるということですか。

「そのとおり。プログラミングは、それを実行することによって予測や結果を導き出すことができる“動的”なものです。一方、数学や論理学もプログラムに似ているように見えますが、こちらはある瞬間の物事の状態しか見ることができない“静的”なもの。

しかも、プログラム言語のほうがはるかにやさしいんです。僕は、哲学者の東浩紀(あずま・ひろき)さんと共同経営するゲンロンカフェ(東京・五反田)で『ノンプログラマー・プログラミング講座』というものを開いていますが、そこで教えているプログラムの文法もせいぜい3つか4つ。これだけあれば、ゲームだって作れちゃうんです」

―では、プログラミングの未来はどうなると思いますか?

「まず、プログラマーという職業がなくなると思います。なぜなら、全人類がプログラミングをするようになるから。例えば、各家庭に安価なロボットが置かれる時代になれば、それぞれが『お茶はどこにあるのか』『友達が来たらどうするか』などプログラミングしなきゃいけなくなる。

僕らは、こうして誰もがプログラミングをする環境の実現を目指し、『MOONBlock(ムーンブロック)』というプログラミング言語を作りました。これはプログラムを視覚的に扱えるビジュアル言語の一種で、子供でも簡単にプログラミングが学べる教育ツールです。こうしたものを作っていくことによって、プログラミングの有用性と楽しさを世の中に広めていきたいですね」

(構成/西中賢治 撮影/三野 新)

●清水 亮(しみず・りょう)




1976年生まれ、新潟県出身。株式会社ユビキタスエンターテインメント(UEI)CEO。6歳でコンピューターに触れ、高校在学中には雑誌で連載を持つ。昨年、手書きでプログラム作成までできるタブレット「enchantMOON」をリリースした

■『教養としてのプログラミング講座』




中公新書ラクレ 780円+税




コンピューターが身近なものになった現在、プログラミングを万人に必須の「教養」としてとらえ直す。難しいプログラム言語の記述は省き、その本質的な意味や価値を解説することで、プログラマーの思考法を明らかにし、実生活の課題解決に応用するための本




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