シリアで拘束された民間軍事会社社長が犯した致命的なミスとは?

週プレNEWS / 2014年8月25日 6時0分

8月18日、「中東シリアで、イスラム武装組織に日本人傭兵が拘束される」という耳慣れないニュースが飛び込んできた。拘束された湯川遥菜(ゆかわはるな)氏は「PMC」、いわゆる民間軍事会社の社長と自称しているが……彼はいったい何者なのか?

湯川氏がイスラム武装組織「イスラム国」(以下、IS)の兵士に尋問されている映像が「YouTube」上にアップされたのは8月17日のこと。

動画の中で湯川氏は名前を名乗り、「私は、カメラマンで、ジャーナリストだ」(意訳、以下同)と話す。だが、ISの兵士は「カメラマンはこんな格好をしていない。なぜ銃を持っている? おまえはFSA(自由シリア軍)の兵士か?」と追及。湯川氏を敵の兵士だと疑うIS兵と、それを否定し続ける湯川氏の問答は約2分間続き、そのまま動画は終了した。

今、シリア北部ではISとFSAの反政府組織同士による泥沼の闘争が続いている。そんな危険地帯で拘束された湯川氏だが、彼のことを知る玩具銃(モデルガン)業界関係者は言う。

「もともと千葉にあるミリタリーショップの経営者でした。2003年頃は専門誌に広告を出すくらい有名な店です。安価な中華製のエアガンを業界でもいち早く取り扱って売り上げを伸ばしましたが、店舗の移転先で他店との安売り合戦に巻き込まれた。競争に敗れたその店は2004年末頃に営業を停止しています」

それから約10年。今年の1月、湯川氏は「PMC JAPAN」という会社を設立した。そもそもPMCは危険地帯における要人や施設の警護、現地民への軍事教育、国の正規軍に代わって海外で戦闘を行なうなど軍事サービス全般を取り扱う「民間軍事会社」の略称だが、湯川氏はそれをそのまま社名にしたわけだ。

「Haruna Yukawa」で登録されている彼のフェイスブックやブログには、紛争地で自動小銃「AK47」を試し撃ちしたり、殺害された兵士を撮影した動画が多数貼りつけられている。

そして今年4月、シリアで知り合った日本人ジャーナリストに「設立した民間軍事会社はできたばかりで実績がない。経験を積むためには現場を見なくてはダメだ」と語ったという(朝日新聞8月18日付)。

彼のブログを読むと、一時日本に帰国。7月下旬に再び単身でシリアの紛争地に向かったことがわかる。アフガンやミャンマーなど紛争地で傭兵として活動した経験を持つ高部正樹氏は言う。

「湯川氏がIS兵に尋問されている動画を見ましたが、本名を名乗ってしまったことは致命的なミスです。ISはすぐに検索エンジンで調べたのでしょう。フェイスブックのアカウント名がローマ字表記なので、すぐに彼のページを見つけたはずです」

今年3月にISを取材した報道カメラマン、横田徹氏はこう話す。

「彼らは現地に住む民間人に手を出すことは基本的にはありません。しかし、外国人が許可なしにISが制圧している地区に入れば確実に拘束され、最悪の場合、殺害されます」

湯川氏のフェイスブックにはFSA兵たちとくつろぐ写真も掲載されている。

彼は小銃を持って戦地に赴き、ジャーナリストと嘘をつき、FSAと交流があった。当然、ISとしては“敵”と考えるだろう。彼が実績づくりのために行なったことが、すべて裏目に出てしまったのだ…。

(取材/小峯隆生)

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