小渕前経済産業相は謝罪したのが間違い? 教えたかった大物芸能人の突破術

週プレNEWS / 2014年11月17日 6時0分

ピンチに追い詰められたとき、ひたらすら謝るのは必ずしも得策とは限らない。大臣を辞任した小渕優子前経済産業相も、やり方次第では危機を乗り切れたはずだ。

こうしたピンチをチャンスに変える術は、一般人にも参考になるところがある。そこで、不祥事を起こした大物芸能人たちの豪快なエピソードから危機突破力を学んでみよう。

長年にわたって芸能人の不祥事やスキャンダルの記者会見現場に立ち会ってきたベテラン芸能レポーター、井上公造(こうぞう)氏に話を聞いた。

「芸能人にとって、記者会見は本当に正念場です。企業の危機管理と同じで、いかに世論を味方につけられるかが重要です。強く印象に残るコメントが特に多かったのは、やはり勝新太郎さんですね」

勝新太郎氏は1990年、大麻をパンツの中に隠していたことがバレて逮捕された。そして釈放時の会見で放ったコメントがあまりにも有名だ。

「なぜパンツの中に入っていたのかわからない。今後は同様の事件を起こさないよう、パンツをはかないようにする」

麻薬の不法所持は明らかな犯罪だから行為は褒(ほ)めることはできないが、この一件でさらにスター性が増したのも事実。

「世論って、会見で対応を間違えた人に対しては『許せんぞ、この人』となるし、見事な切り返しをすれば『しゃーないな、この人』と許容するのです。

勝新さんは拳銃の不法所持について質問されたときも、『おまえら拳銃を撃ったことがあるか? オレもないんだ。本物の拳銃も持ったことがないのに、どうやって刑事役を演じるんだ? だから東京湾に缶を浮かべて試し撃ちをした』と答えた。発言の内容は明らかに間違っているんです。でも、妙に許せてしまう」(井上氏)

大物芸人と呼ばれる人たちもすごい。

明石家さんまさんは大竹しのぶさんとの離婚会見の際、おでこに“×印”を書いてジョークに変えた。当時は、離婚会見でフザけるのはいかがなものかという批判的な空気もありましたが、今となっては“バツイチ”という言葉の語源となった伝説的な会見となりました」

ビートたけし氏になると、危機管理の“順序”から違う。

「たけしさんは普段のトークでいつも『この間おネエちゃんとさ……』というような発言をしています。つまり、愛人の存在だとか浮気だとか、事前に認めちゃっているんですよ。しかも女性とのデート現場を撮られたりしたときにコメントを求めても、『もちろん下心はあるよ。キミたちはないのかい?』なんて言う。マスコミの人間だって聖人君子ではないので、しゃーないなとなっちゃう」(井上氏)

では、女性芸能人はどうだろうか?

「覚せい剤で逮捕された酒井法子さんが釈放されたときの会見で、彼女は号泣しながら平身低頭で謝罪しました。でも泣いてもメイクが崩れなかったからウオータープルーフのメイクに違いないとか、計画的な嘘ではないかなどと揶揄(やゆ)されてしまった。

矢口真里さんが『ミヤネ屋』に出演したときも、最初から最後まで低姿勢で、言えることはすべて話したと思います。僕も一緒に出演していたので言えるのですが、あのとき、事前の打ち合わせは一切なかったんです。編集できない生放送の場で彼女はよくやったと思います。

しかし離婚した元夫の中村昌也さんとの約束で、口外できない部分は断じて話さなかった。これについて批判的な意見も出ましたが、逆にベラベラしゃべったらもっと批判されたでしょうね」

倫理的には問題だけど法に触れたワケではない矢口真里ちゃんと、ガチで法を犯したノリピーとを同列に論じることはできない。しかし、平謝りをしても今の世間は許してくれない風潮が、これらからは見えてくる。つまり、なんらかの不祥事を起こした際、攻撃的な世間の空気に対してひたすら下手に出ると、その攻撃性がさらに過熱して叩かれる危険性があるのだ。

政治家の不祥事対応を数多く見てきた、政治アナリストの池田和隆(かずたか)氏が言う。

「小渕優子さんの場合も、疑惑が報じられて、とりあえず謝っちゃったでしょ? 小渕さんは元総理の父親を持ち、秘書も後援会も先代から引き継いでいる。選挙対策などの地元に関することは後援会や秘書任せだろうって誰もが思いますよ。

だから彼女は、『父の代からのスタッフと後援会の人たちがすべてやってくれているので大丈夫だとは思いますが、よく調べてみます』と言えばよかったんです。身内への信頼感も示しつつ、議員本人への火の粉も防げて、時間も稼げた。時間があれば党の大先輩たちにも相談でき、万全の態勢で次の会見に臨めたのです。

速やかに自らの非を認めて謝ることは“良いこと”だと思われがちですが、場合によっては不正解なのです。いったん謝れば周囲の疑惑は確信に変わり、攻撃も激しくなる。防げたはずの部分までもが表面化して、結果的に父親の代から献身的に仕えてくれた前町長さんを売った形となり、本人も大臣を辞任するハメになった。後援会も支持者も、みんなガッカリです」(池田氏)

もしなんらかの不祥事を起こしてピンチに陥ったとき、重要なのは平謝りすることではない。ユーモア、胆力、時間稼ぎなど、状況や自分の身の丈に合った対応を事前によく考えておく。そしてピンチが大きなときほど鮮やかに切り返して周囲を逆に感心させられたら……ピンチをチャンスに変えられるはずだ。

(取材・文/菅沼 慶)

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