ペット殺処分の現実…トンデモ飼い主たちに動物愛護センターもNO!

週プレNEWS / 2014年11月28日 6時0分

動物を殺処分する施設として、昔ながらの偏見で批判の的となることも多い動物愛護相談センター。でも、なぜそうせざるを得ないか、身勝手な感情論ではなく向き合う責任があるはずだ。飼い主たちの映し鏡でもある、この場所の現実とは!

■トンデモナイ理由でペットを手離す飼い主たち

東京都動物愛護相談センター。捨てられたり、飼い主が亡くなったりして行き場を失ったペットたちを収容する行政機関だ。各自治体にこのような施設が設置されているが、そこで働く人々はどのように動物と向き合っているのか……?

そこで世田谷区八幡山(はちまんやま)にあるセンターを訪問! 業務係長の佐竹浩之さんが案内してくれた。

「もともとここは、昭和20年代に狂犬病が問題になった際に、野犬や放し飼いの犬を収容する施設として造られました。狂犬病問題が収まったら、今度は犬や猫を飼う人が増えるとともに捨てる人や途中で飼えなくなって手放す人も増えて。昭和58年の時点で全国で100万頭以上、都内でも5万6000頭もの動物を殺処分していました。現在の殺処分数は全国で17万頭、都内で約2000頭なので、それと比べるとかなりの数です。当時は都内で一日に200頭以上処分するような時代だったんです」

そんなにたくさんの動物たちが殺されていたとは……。

「でも、今はそんなに野良犬を見かけなくなりましたよね。それに、飼えなくなった飼い主からの引き取りも減っています。というのも、都では昭和55年にできた条例で『やむを得ない場合のみ飼い主から動物を引き取る』と定められているんです。全国的にも昨年9月に法律が改正され、『自治体は飼い主からの引き取りを拒否できる』ようになりました」

実際、どんな理由での引き取り依頼が多いんでしょう?

「昔、一番多かったのは『子猫がたくさん生まれちゃって、これ以上飼えないから引き取ってほしい』というもの。『不妊手術をしてください』と指導しても同じことを繰り返す“リピータ”がいたんです。あと、『飼ってた犬が思ってた以上に大きくなって扱いきれなくなった』なんて理由もありましたね」




あー、意外といそう!?

「そういう飼い主さんはだいぶ減りましたけど、今でも『そんな理由で!?』という方がいまして……。ここ数年、ジャック・ラッセル・テリアという小型犬がはやってますけど、猟犬の習性がある犬種なのですごく活発で、飼うには相当のしつけの技術が必要なんです。その犬を飼った人が『家の中を走り回って大変だから、引き取ってください』と。『それはそういう犬! しつけるのは飼い主の責任です』と当然断りました。

正直、腹が立つような理由もいっぱいありますよ。センターとしては、引き取る前に事情を根掘り葉掘り聞いて、里親探しを勧めたり、飼い方やしつけ方を指導したり、簡単には引き取らないようにしています。あと、ペットショップなどの動物取扱業者が動物を売る前に習性や飼い方をきちんと説明しているかどうかを管理・指導するのも今の私たちの大事な仕事なんです」

なるほど、そんな指導まで!

■“飼わない”という決断も大切です!

「先ほどお話ししたように昔と比べると全国の殺処分数は5分の1まで減少しましたが、それでも多い。これを減らすには“猫”の対策が重要なんです。野良犬は見かけなくなったけど、野良猫はいますよね?」

ウチの近所でも発情期になると鳴き声が聞こえてきます!

「都内の犬の処分数が200頭未満なのに対して、猫はその10倍です。実は猫って規制が何もなくて、飼う場所も自由なので、センターに『猫を保護したから引き取って』と依頼がきても安易に引き取れないんです。どこかの飼い猫かもしれませんからね。ただ、放っておくと誰かがエサをあげたりするでしょ?」

よくそういうのを見ますし、かわいそうで自分もつい……!

「そうすると、『エサがある!』と猫が集まってきますよね。栄養状態もよくなるから、妊娠して子猫を産んじゃう。それでセンターに『近所に子猫が生まれてる』って問い合わせがきて現場に行くと、まだヘソの緒も取れてないような子猫がいるわけです。離乳前の子猫は2時間置きにミルクをあげないといけないので、センターでは面倒を見きれません。だから即日、殺処分せざるを得ないんです」




犬の10倍処分されてる猫の内訳は、そんな赤ちゃんが多くを占めてるってこと?

「ただ、自治体としては『エサをあげないで』と注意するしかなかった。そこで10年ほど前に都が支援を始めたのが“地域猫”活動。『野良猫は“地域の猫”だから、みんなで問題を解決していこう』という考え方ですね。地域住民に対して『お金を出し合って野良猫に不妊手術を受けさせましょう』とチラシを配ったりして自治体やボランティア団体が働きかけたんです。

これでお金が集まって手術を受けさせられれば、その後は世話係を決めて、猫が寿命で亡くなるまで地域全体で面倒を見ます。そうすると、外で暮らす猫は屋内で飼われている猫に比べて寿命が短いので自然と野良猫の数が減っていくんですよ」

なるほど、それで不幸な生まれの猫を増やさないように!

「実際に寄付も集まって、全国的にこの活動は行なわれています。地域猫活動に補助金を出している自治体も多いんですよ」

心ない飼い主がいる一方で、動物のためにこんなに真摯(しんし)に取り組んでいる人たちも!

そんなお話を聞いた後、引き取られた犬や猫がいる建物を見せてもらうことに。犬舎に入るとケージに入れられた犬たちがものすごい勢いでほえてきた!

「飼い主さんが探している可能性もあるので、最低7日間はこの中にいてもらいます。それ以降は都が管理することになります。譲渡できる動物は個人や動物愛護団体にお渡しして、譲渡できない動物は殺処分……。私たちもできるだけ譲渡を増やしたいのですが、だからといって、病気や噛み癖のある犬を譲渡するわけにはいかないんです」




譲渡できる動物は、すべてもらわれていくんですか?

「いや、もらわれずに残っている犬もいますよ。例えば、この犬舎にはダックスフントが多いんですけど、なかなかもらってくれる人がいないんです」

ダックスフントって人気があるイメージですけど……?

「市場では人気です。ただ、胴が長いダックスは腰を悪くしやすいし、よくほえる犬種なんで。飼えなくなって手放す飼い主がいて、ここに来ても引き取り手が見つからない……。実は、半年ぐらいずっと残されているコもいるんです。収容から7日過ぎても、犬舎に余裕があればここで飼いますからね」

では最後に、ペットを飼おうとしている人にメッセージを!

「『本当にペットの命に責任が持てるのか?』と自分自身に問いかけてほしいです。飼えなくなって無責任に手放した動物は、最終的には殺処分になります。機械の中に犬や猫を入れて、二酸化炭素を注入して処分するんです。

二酸化炭素に麻酔作用があることは科学的に証明されていますし、注入する際の濃度の上げ方によってできるだけ苦痛が少ないようにしてはいますが、動物が飼い主から離れて不安ななかで迎える死は、どんな方法であっても安楽死ではないはずです。だからこそ、飼う前にあらゆる可能性を考えて、結果、“飼わない”という決断をするのも、とても大切なことなんです」

(取材・文・撮影/short cut[岡本温子、山本絵理])

■週刊プレイボーイ49号「13P大特集 俺にもできる!幸せなペット生活」より(本誌では、ペット生活のタイプ別向き不向きからペットビジネス最前線まで総力取材!)

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