回転寿司業界の壮絶サバイバルで、かっぱ寿司だけが消えてゆく?

週プレNEWS / 2014年12月1日 6時0分

かっぱ寿司は回転寿司業界でも指折りの大手だが、危機に陥っている

10月下旬、居酒屋「甘太郎」や焼き肉店「牛角」などを展開するコロワイドが、大手回転寿司チェーンの「かっぱ寿司」を買収すると発表した。2期連続で赤字となり、不採算店の閉鎖ラッシュが加速していたかっぱ寿司。その背景を探ってみると……。

まず、回転寿司業界の現状について業界誌編集長のT氏が解説してくれた。

「現在、日本にある回転寿司店は約4000店。そのうち、スシロー、かっぱ寿司、くら寿司の上位3社が展開する100円均一系店舗だけで約1200店を占めます。それ以外の多くは、100円から500円程度の寿司を提供するグルメ系回転寿司。100均系とグルメ系の二極化が進んでいるのが現状です」

そのなかでなぜ、かっぱ寿司の業績悪化がひときわ鮮明になっているのか。T氏が続ける。

「アベノミクスに足をすくわれました。100円回転寿司の寿司ネタの多くは海外産。特に海外依存度が高いかっぱ寿司の場合、サーモンはチリ、デンマーク産、穴子は中国産、エビはベトナム産……と海外調達比率は7割程度といわれ、業界でも飛び抜けた数字です。これがアベノミクスによる円安の影響をモロに受けて食材コストが1割ほど膨らみ、利益が吹っ飛んでしまったというわけです」

1割程度のコストアップで利益が吹っ飛ぶ? 回転寿司評論家の米川伸生氏がこう話す。

「実は、居酒屋やファミレスなど一般的な外食産業の原価率が30%であるのに対し、回転寿司では40~50%が当たり前。そこに人件費や賃料を加えると、店の利幅は1皿数円です。ほんのわずかのコスト増でも業績を大きく左右するのです」

とはいえ、業界首位のスシローも、3位のくら寿司も黒字決算。なぜかっぱ寿司だけが赤字なのか? 米川氏が続ける。

かっぱ寿司は安いけどおいしくない。そんなイメージが定着したためです。その原因のひとつが原価率。スシローが約50%、くら寿司が約45%をキープし続けていたなか、かっぱ寿司の原価率は長らく30%台後半で推移していました。これが品質低下を招いて深刻な客離れに直結。その後、原価率を40%台に引き上げて品質向上を図ったものの客数を回復させるまでには至りませんでした」

前出のT氏もうなずく。

「100円という価格を維持するために、他社がマグロ10g、12g使っているときに、かっぱ寿司は薄めにスライスして8gにしたり、それに合わせてシャリを数g減らしたり……。そうした調整はほかの回転寿司チェーンでも少なからずやっていることですが、かっぱ寿司はそれが客にバレるレベルでした」

食品安全教育研究所代表の河岸宏和氏が、業績が悪化するかっぱ寿司の現状をこう表現する。

「自力での業績回復はほぼ不可能な状況です」

前出の米川氏も同意する。

「コロワイドはかっぱブランドを捨てる覚悟でテコ入れしないと再建は難しいでしょう。つまり、数年後に街中からかっぱ寿司の看板がなくなる可能性もあるということです」

(取材・文/興山英雄 撮影/五十嵐和博)

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