少子化ニッポンの超タブー、衆院選の本当の争点は“老人を捨てるか、若者を捨てるか”だ!

週プレNEWS / 2014年12月11日 11時0分

森田朗氏(右)と山本一郎氏が語る本当の“日本の争点”とは―?

なんのための選挙なのか? そう感じるのも当然かもしれない。週プレ世代やそれ以降の世代にとって何よりも重要な「社会保障改革」が、争点としてまったく浮上してこないからだ。

そこで、この分野の第一人者である森田朗氏と、各種統計分析の専門家・山本一郎氏が、本当の“日本の争点”を語り合った。

■社会保障はなぜ争点にならないのか?

山本 この選挙、とんでもないことになるかもしれません。11月末、公示前時点での話ですが、素直に数値を入れて選挙の趨勢(すうせい)を予測したら、自公で最大385議席、予想の中央値で348議席という数字が出ました。民主党支持者のかなりの割合が自民党に投票するという予測も出ました。公示前はどうしても与党が多めに出るので、実際にはそこまではいかないと思いますが。

森田 そこまでいったら異例の事態ですね。

山本 あり得ない事態です。野田佳彦(よしひこ)前首相すら、すんなり再選確実とは出てこない。ただ、これだけ自民優勢でも、うちわ問題の松島みどり前法相は劣勢ですが(笑)。有権者は厳しい。

森田 野田さんが首相時代の2012年、社会保障の財源に充てるとして、民主・自民・公明の3党間で合意して消費増税を決めたことは評価できると思います。

山本 国民にとって耳の痛いことも、必要ならはっきり言うのが政治家の役割ですね。

森田 ただ、その際、3党は1年以内に「社会保障制度改革国民会議」を立ち上げ、そこでの議論に委ねることを条件に、社会保障改革を棚上げにしました。以来、この問題は国民が最も関心を持っている問題のひとつでありながら、選挙の争点になっていないですね。

社会保障改革は、どうしてもさらなる増税や社会サービスのカット、特に投票力のある高齢者層の負担を増やすという話になりますから。山本 選挙でそれを言うと、負けるリスクが高いということですね。しかし現実問題として、増え続ける高齢者を減り続ける若い人の負担だけで支えるのはもう無理です。

本当はずっと前からわかっていたことなのですが、いいかげん、社会保障制度をきちんと議論する必要がある。政治家が語らないことをきちんと知ってもらいたい。そこで今日は、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の森田先生にお話を伺いたいのです。

森田 社会保障制度を支えているのはお金です。税の「負担」として国民が払うお金と、国や社会から「給付」として受けるお金の配分のバランスが取れていないと制度は維持できない。維持できなければ、出産・育児の支援や、病気になったときの医療費の補助、高齢者になったときの援助もできなくなります。このグラフ(図表1⇒http://wpb.shueisha.co.jp/2014/12/11/40448/)を見てください。

山本 09年時点での、世代ごとのお金の出入りを示したものですね。日本人全体として、基準線から上の面積(給付)と下の面積(負担)が明らかに釣り合っていませんね。

森田 自分の年齢を見れば、現在の給付と負担の割合がひと目でわかります。ただし、子供時代についていえば、実際は負担分を親が代わりに払っている。稼げるようになったら自分で負担していきます。

注目していただきたいのは右上の部分。この高齢者への給付が、労働世代にとって重たすぎる負担になっているわけです。

山本 労働者が税や保険料として支払う負担の多くが、その時代の高齢者の年金や医療、介護に使われるだけ。自分たちの老後への備えにはまったくなっていませんね。

森田 しかも、少子高齢化が進む日本では、これから労働世代の人口が先細りになる一方、分厚い給付を受ける高齢世代の割合がどんどん高くなっていきます。これが現行の社会保障制度における根本的な問題なんです。

*この続きは、明日配信予定!

(構成/佐藤信正 撮影/佐賀章広)

●森田朗(もりた・あきら)




1951年生まれ。国立社会保障・人口問題研究所 所長東京大学名誉教授(行政学)。東京大学公共政策大学院院長、東京大学政策ビジョン研究センター長などを歴任。『制度設計の行政学』(慈学社出版)など著書多数。

●山本一郎(やまもと・いちろう)




1973年生まれ。選挙データ専門家、投資家、ブロガー。選挙データをはじめとする各種統計分析の専門家であり、永田町・霞が関方面の動向にも詳しい。『情報革命バブルの崩壊』(文春新書)など著書多数

■週刊プレイボーイ51号(12月8日発売)「『老人を捨てるか若者を捨てるか』を誰が言い出すか?」より

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