【日本初!】あなたはiPhoneだけで撮影された映画を知っていますか?

しらべぇ / 2014年12月11日 9時0分

夢を持つことが称揚されがちな我が国ですが、大人になるにつれ、自分が何になりたいのかわからなくなったり、夢を失ってしまった方も少なくないでしょう。

そんな方にぜひ知っていただきたいのが「妖怪になりたい」という夢を持った36歳の「加藤くん」という男性を追ったドキュメンタリー映画『加藤くんからのメッセージ』です。12月6日から、全国の映画館で公開されています。今回は、そんな彼の半生と映画化に至った特殊な経緯をご紹介しましょう。

「妖怪になる」と決めた加藤くん

2000年代後半、月収9万円で介護事務として働きながら早稲田大学に通う学生だった加藤くんは、ある授業の中で突然、「僕は妖怪になる!」と言い放ちました。

彼は、かの有名な芸術家・荒川修作さんの言葉に強い冠名を受けたのです。「これまでの芸術・科学・哲学は全部間違いです。なぜならその全ては人間がいずれ死ぬという前提で作られているから。僕は死なない。誰も死なない街を作るのです」。これが彼を妖怪への道に誘うきっかけとなりました。

幼いころ岐阜の山奥で育ち、妖怪の本を読みあさって「妖怪は存在する」と信じていた加藤くんと、荒川さんの思想が重なったのです。

「自分自身が妖怪になり、死なないという無茶に立ち向かうことで、世の中をちょっと面白くできるのではないか?」そう考えた加藤くんは自らが妖怪になることを決めたのです。

youtubeに「妖怪活動」を投稿する日々

それからというもの、加藤くんは「妖怪活動」を開始しました。幼稚園児から大人まで、色々な人に「その人の夢」を書いてもらい、それを彼が街頭で読み上げるのです。「ゆうきくんは新幹線の運転手になります!」「しょうくんは新幹線になります!」と、まっすぐな夢を読み上げる彼は、客観的に見ると常軌を逸脱した人物に見られていたことは間違いありません。

彼はなぜそのような活動をしていたのでしょうか。加藤くんのぶれない軸とは「どんな人のどんな夢でも必ず叶う」という信念。誰かの夢を読み上げると同時に、「僕は妖怪になる!」と自分の夢を語ることで、夢は必ず叶うことを周囲に精一杯伝えようとしていたのです。

日本初のiPhone映画公開へ

そんな加藤くんを被写体として発掘したのが、萌え声が特徴的なOLの綿毛さんでした。共通の知人が入る劇団を通じて知りあった二人の関係は、綿毛さんの「なんだかこの人を追ってみたい」という直感からスタートします。

いつの頃かiPhoneを使って加藤くんを撮影し始めた綿毛さん。結果、2年にわたる撮影内容をドキュメンタリー映像として映画にしてみたいと思い立ち、これらが『加藤くんからのメッセージ』というひとつの作品にまとめられたのです。作品は2012年のイメージフォーラムフェスティバルで初上映され、見事観客賞を受賞します。

その後、いくつかの映画祭で上映されたのち、綿毛さんは様々な映画配給会社へコンタクトをとりました。結果、2014年12月時点では全国3箇所(東京、名古屋、大阪)の映画館で日本初のiPhoneで撮影された映画が劇場公開されることになったのです。

妖怪「加藤くん」の葛藤

映画の中では、女性に恋して涙を流す加藤くんや、末期がんの父に「妖怪になりたい」という夢を打ち明ける加藤くんなど、ありのままの彼がむき出しで切り取られています。決して特殊な存在ではなく、葛藤し、涙を流し、それでも前を向く加藤くんに、強く心を打たれる方も少なくないかもしれません。

映画『加藤くんからのメッセージ』

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同じ12月に公開の『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』は前売り販売84万枚。東宝史上最高記録をたたき出した空前絶後の妖怪ブームを前に、映画『加藤くんからのメッセージ』は劇場窓口での前売り販売がわずか7枚でした。

思わず目を背けたくなる滑り出しでしたが、12月6日の公開初日はなんと満席!上映期間中のトークイベントも『悪の華』でおなじみの漫画家・押見修造さんや、『世界一即戦力な男』として有名な菊池良さん、『ザ・ワールド・イズ・マイン』『キーチ!』などでおなじみの漫画家・新井英樹さんなど、超豪華なメンバーで繰り広げられます。

みなさんもぜひ、加藤くんのメッセージから、「忘れていた夢」や「ひたむきでカッコ悪いカッコよさ」を思い出してみませんか?「妖怪」ブームの中、本作品も見逃せない一作に仕上がっています。

関連リンク:映画『加藤くんからのメッセージ』公式HP http://www.yokai-kato.com/

(文/しらべぇ編集部・河津愛美 http://sirabee.com/author/manami_kawazu/ )

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