専門家も「興味深い」 クモが見せた人間味のある動きが話題に

しらべぇ / 2019年7月22日 7時0分

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(lenaxf/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

ツイッターユーザーの山之城さん(@yamanojyo)がこのほど、自宅に現れた「ハエトリグモ」というクモの行動を観察し、撮影した動画をツイッターに投稿したところ、見た人から人間味のある動きだとして、注目が集まった。

しらべぇ編集部が専門家にクモの動きについて聞くと「1つの実験の中で、クモが対象への認識を変える境目が見えることは興味深い」と、専門家から見ても面白いものだったようだ。

■クモも警戒?

16日、「怖がらせちゃった」と動画とともにツイートした山之城さん。1匹のクモがパソコン画面に張り付いている様子が動画で確認できる。

怖がらせちゃった… pic.twitter.com/zmr7hmAQKh

— 山之城 (@yamanojyo) July 15, 2019

山之城さんは画面上で動くクモに対し、カーソル、踊る女性、アニメ画像の3種類を表示させ、どのような反応を示すか、「実験」を行った。

カーソルではクモは動く方向に身体を向けるかのような動き、踊る女性の時はまるで攻撃されないか警戒しているような行動を見せる。

最後のアニメ画像の時には動画は途中で途切れているが、山之城さんは「ツイッターに動画を投稿していたらいつの間にかパソコンの画面上からいなくなっていました。 怖かったんでしょうね…」と事の顛末を話す。

■専門家の見解は

一連のクモの動きについて、専門家はどのように見るのか。

日本蜘蛛学会所属で、クモの行動に詳しい慶應義塾大学先端生命科学研究所の高須賀圭三博士は上記の実験について、カーソルは「獲物」、踊る女性は「敵」、アニメ画像は「物体として認識していない」と、子育てなど忙しい時間の間を縫って、それぞれ分けて分析してくれた。

詳細解説は次の通り。

(1)カーソル

「カーソルに対し常に正面に向くように姿勢を保っており、外敵ではなく獲物と認識している。ごくわずかだがカーソルに向かって踏み出しており、飛びかかる意思があることがわかる。多くのクモは、外敵に対して攻撃を仕掛けて身を護るということは一切しない」

(2)踊る女性

「カーソルの時とは異なり、後ずさりや背走していることから外敵と認識。ハエトリグモは基本的に自分と同程度の大きさか、最大でも2倍程度の獲物しか狩れないので、ここまで大きいオブジェクトを獲物として狙うことはまずない。

敵と認識しつつ、やや様子見しているようだ。だが本当に危ないと感じたら飛び降りるはず。画面上のオブジェクト(物理的な接触が不可能)で飛び降りさせるほどのイミテーションはできないような気がするが、誰か色々試してみてほしいところ」

(3)アニメ

「突然画面に絵が現れたのにもかかわらず、クモに動じている様子が一切ない。もし、オブジェクトとして認識できるものがこの急な現れ方をした場合、まず敵に対するなんらかの反応があるはず。

オブジェクトとして認識されなかった理由として、この絵がこのクモの眼の視界を超えていて背景とのコントラストが得られず、物体と認識してないからだ」

■クモと人間の認識は似ている?

高須賀博士は、動画全体の分析として、

「カーソル、踊る女性の時は白い背景上に乗り動く塊であることから、クモは確実に他の生物だと認識している。人間も、例えば白い壁に何か色のついた塊が動いている、といった同じような状況に直面した場合、それが非生物でも何かの生き物かとまず疑う」

「一方で例えば一面の壁や床の色が一瞬で激変しても生物の存在として見なさないはず。ハエトリグモと人間は、かなり似たビジュアル世界と認識様式を持っていることがわかる動画ではないか」

と述べる。

■「バズった」理由についても見解

専門家としては「想定される動きなので、驚くほどではない」としながらも、「1つの実験の中で、エサオブジェクトと敵オブジェクトが存在しており、認識がエサと敵に切り替わるオブジェクトの境目が何となく見えることは興味深い」と感想を述べる。

また、「ここまでバズったのは」とツイートが拡散したことについては、「一般には敬遠されがちなクモでここまでバズったのは、クモの動きに人間味を感じられたからではないか」とコメント。

「クモなどの無脊椎動物を研究している者として、対象生物やその研究内容が市民権を得ることが割と難しいと感じるが、クモでもバズった今回の現象とその背景は、示唆に富む例ではないかと感じる」とも話した。


(文/しらべぇ編集部・亀井 文輝

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