モモにわざわざカワを巻く…料理人の丁寧な仕事(仕込み)が光る名店「鳥山居」

しらべぇ / 2014年11月24日 21時0分

ランチに訪れた焼鳥店での出来事。カウンター越しに若い店員さんが夜の仕込みをしていたのだが、思わず目が止まってしまった。なぜなら、鳥のモモ肉に湯葉らしきものを巻いていたからだ。「モモ肉の湯葉巻き」? いったいどんな味になるのかと興味が湧いて尋ねると、途端に赤面。巻いていたのは湯葉ではなく、鳥の皮だったのだ。


ここ東京・池ノ上の焼鳥店『鳥山居(とりさんきょ)』では、いわゆる「モモ」はわざわざ「カワ」を巻いて出しているという。

焼鳥のメニューで「モモ」と言えば定番中の定番。塩で注文すれば、白くツルんとした焼き上がりを想像する人がほとんどだろう。そこで同店スタッフに尋ねてみると、「仕込みが手間なので、カワ付きで出すお店は多くないと思います」とのこと。

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具体的に仕込みの工程は「はがしたカワを小さくカットし、それをモモに1枚ずつ巻く」そうだ。仕込みに要する時間はおよそ40分。ただし、これは「モモにカワを巻く時間」であって、1羽から捌く時間を含めれば、さらに時間を費やしていることになる。

なぜそこまで手間をかけるのか? その答えを知るため、さっそくディナータイムにお邪魔して「モモ」を注文。

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なるほど、確かにカワが巻いてある。そしていよいよ口に含むと、パリッとした歯ごたえとカワの香ばしさが広がり、その奥からモモの旨味が追いかけてくるのだ。本来なら“ソロ”で活動する「モモ」と「カワ」だが、コンビを組んで正解だと実感できた。

せっかくなので、他にもおすすめの串をお願いしたところ、運にも恵まれ次々と希少部位が!

まずは「ソレリス」。

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モモの付け根にあたるのだが、左右でひとつずつ、つまり1羽から1串しかとれない。モモにも似た味わいだが、より弾力があり、食べ応えがある。「ソレリス」とはフランス語で、日本語に直すと「愚か者は見逃す」という意味らしい。食べて納得である。

ここからは4串をいっきにご紹介。「手羽元(左上)」と「はつもと(左下)」。

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手羽元は味こそ馴染みはあるが、ソレリス同様1羽で左右にひとつずつの希少部位。はつもとは、肝臓と心臓の間の大動脈。6羽分を集めてようやく1串になるという。カワより柔らかいがグニャっとせず歯切れがいい。

右の皿にうつって「砂肝のエンガワ(右上)」と「中落ち(右下)」。エンガワも5~6羽分でようやく1串になるという。柔らかすぎない、コリコリ感が楽しい。そして焼鳥屋で「中落ち」とは聞きなれない人が多いかもしれないが、鳥山居では、セセリ、ハラミ、モモなどの骨からそぎ取った肉を集めて提供してくれる。「つくね」より柔らかく、肉の旨みが凝縮された印象。鳥山居では2羽分から1串になるという。

どれも美味しく、大満足な夜となった。料理人の丁寧な仕事がひとつ入ることで、ワンランク上の贅沢を楽しめる。鳥山居はそんな名店だ。

*焼鳥 草鍋「鳥山居」(とりさんきょ)
東京都世田谷区代沢3-14-4 2F 03-3419‐5755

(文/しらべぇ編集部・武広しんじ http://sirabee.com/author/takehiro_shinji/ )

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