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火星探査機「2001 マーズ・オデッセイ」が撮った衛星「フォボス」の満月

sorae.jp / 2019年5月10日 20時48分

こちらの画像は、NASAの火星探査機「2001 マーズ・オデッセイ」に搭載されている熱放射撮像カメラ「THEMIS」によって撮影された、火星の大きいほうの衛星「フォボス」の赤外線画像を3つ並べたものです。

撮影日は、左から2017年9月29日、2018年2月15日、2019年4月24日となります。画像の色は温度を示していて、フォボス表面の実際の色とは異なります。一番低い紫(150ケルビン=摂氏マイナス123度)から、青、緑、黄、オレンジ、そして一番高い赤(300ケルビン=摂氏27度)にかけて、フォボスの表面に温度のグラデーションが描き出されています。

左側の2点は、フォボスが「半月」のときに撮影されたものです。半月を撮影した画像はフォボスの地形や表面の質感を読み取るのに適していて、くっきりとしたクレーターの陰影や、なだらかな表面のうねりなどが識別できます。地形の情報は、有人ミッションも含め、将来のフォボス探査において着陸地点を決める際にも利用できます。

いっぽう、先月撮られたばかりの右端の1点は「満月」のフォボスを撮ったもので、表面の物質の違いを読み取るのに適しています。特に注目されているのは、鉄やニッケルといった金属です。金属の比率や他の鉱物との混ざり具合を調べることで、フォボスが火星の破片からできているのか、それとも火星に捉えられた小惑星なのかを判断するのに役立つと考えられています。

画像を撮影した2001 マーズ・オデッセイは、その名の通り2001年4月に打ち上げられ、同年10月に火星の周回軌道へと入りました。先月から19年目に突入したベテランですが、現在も毎週数百枚のペースで火星表面やフォボスの画像を撮影し続けています。

また、2001 マーズ・オデッセイには、地表の探査機からのデータを中継するという重要な任務も課せられています。先日、火星の地震波らしき振動を捉えたと発表された「インサイト」のデータも、2001 マーズ・オデッセイによって中継されています。

2001 マーズ・オデッセイの想像図(Image credit: NASA/JPL-Caltech)

自身の観測任務だけでなく、新たな仲間へのサポートもこなす火星周回軌道上のベテラン探査機。2001 マーズ・オデッセイによって取得されたフォボスのデータは、2020年代の打ち上げに向けて研究開発が進められている宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「火星衛星探査計画(MMX)」も含めた将来の火星衛星探査ミッションにとって、重要な意味を持つことになるでしょう。

 

Image credit: NASA/JPL-Caltech/ASU/SSI
https://www.jpl.nasa.gov/news/news.php?feature=7398
文/松村武宏

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