星が誕生する場所は意外と少ない!国立天文台野辺山の観測結果から明らかに
sorae.jp / 2019年7月25日 23時0分
国立天文台は7月24日、国立天文台野辺山宇宙電波観測所の45m電波望遠鏡を使った観測によって、恒星が誕生するのに必要な高密度ガス雲が非常に少ないことが判明したと発表しました。
銀河には「分子雲」と呼ばれるガスの雲(集まり)があちこちに存在しています。ガス雲の密度は一定ではなく、密度の低い場所と高い場所が入り混じっています。高密度のガス雲はやがて星形成領域となり、ここから新しい恒星が誕生することになります。
しかし、従来の分子雲に関する観測結果と、実際に恒星が誕生しているペースを比較すると、恒星は予想の1000分の1しか生まれていないことがすでにわかっています。国立天文台の鳥居和史氏をはじめとした研究チームはこの謎を解くために、国立天文台野辺山の45m電波望遠鏡を使ったプロジェクト「FUGIN(風神)」のデータに注目しました。
FUGINプロジェクトの観測対象は、ずばり天の川銀河の分子雲です。同プロジェクトでは45m電波望遠鏡に取り付けられた新しい観測装置「FOREST」を使って、密度の異なる分子雲が分布する様子を2014年から広範囲に渡って観測しています。
今回、研究チームはFUGINプロジェクトによって蓄積された分子雲のビッグデータを解析することで、天の川銀河の分子雲における低密度ガスと高密度ガスの分布状況を調べました。その結果、分子雲全体のうち高密度ガスが占める割合がわずか3パーセントでしかないことを突き止めたのです。
こちらが、FUGINプロジェクトによって捉えられた天の川銀河の一部におけるガス雲の分布状況。低密度ガス(赤)と高密度ガス(青)を比べると、高密度ガスが圧倒的に少ないことがわかります。
やがて集まって高密度ガスだけになってしまうと考えられていた分子雲が、実際には何らかの理由で高密度ガスにはならず、ほとんどが低密度ガスのままで存在している……。誕生する恒星の数が少ないことの理由にもつながる発見ですが、何がガス雲の高密度化を阻害しているのかについては未だ謎のままです。
研究チームは今後もFUGINのデータ解析を継続し、星形成の謎や、高密度ガス雲の形成を阻害する原因に迫りたいとしています。
Image Credit: 国立天文台
https://www.nro.nao.ac.jp/news/2019/0724-torii.html
文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
国立天文台、野辺山45m電波望遠鏡で原始星の「ストリーマー」を詳細に確認
マイナビニュース / 2024年4月19日 15時25分
-
星は誕生時にくしゃみをする? 九大などが、「磁束問題」解決のヒントを観測
マイナビニュース / 2024年4月12日 16時58分
-
大マゼラン雲に見つかった10個の“低金属星”で初期宇宙の見方が変わる?
sorae.jp / 2024年4月2日 21時0分
-
天の川銀河と合体した銀河の痕跡を新たに発見 「シャクティ」と「シヴァ」と命名
sorae.jp / 2024年3月30日 21時30分
-
アルマ望遠鏡、スターバーストが起きるメカニズムの解明に一歩前進
マイナビニュース / 2024年3月29日 19時5分
ランキング
-
1究極の卵料理「ウフマヨ」が簡単に作れちゃう! 農水省がレシピを伝授
オトナンサー / 2024年4月24日 22時10分
-
2外国人がよく行く「ファミリーレストラン」ランキング! 「ガスト」を抑えた1位は?
オールアバウト / 2024年4月24日 21時5分
-
3【急なお通夜に参列】喪服がない…どうする? ユニクロやGUで見つける「喪服の代用」アイテム
オールアバウト / 2024年4月24日 20時15分
-
4老後破綻を招く?親世代とのお金観の違い4つ
オールアバウト / 2024年4月24日 21時40分
-
5右肩上がりの「完全栄養食」味は微妙…と思いきや。日清“完全メシ”を食べ比べて「今後が楽しみになった」理由
女子SPA! / 2024年4月24日 15時46分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください