太陽系外惑星の表面に“液体の水”が存在するかどうかは、その質量にも左右される

sorae.jp / 2019年9月14日 21時20分

ハーバード大学の工学・応用化学スクールは9月10日、「惑星などの天体の表面に液体の水が存在するかどうかは、主星(恒星)からの距離だけでなく天体の質量にも左右される」とするConstantin Arnscheidt氏らの研究成果を発表しました。研究内容は論文にまとめられ、8月13日付でThe Astrophysical Journalに掲載されています。

木星(左)と衛星ガニメデ(右)の想像図(Credit: NASA/ESA)

■天体の居住可能性は「主星からの距離」だけに左右されるのか?

太陽系外惑星が発見されるたびに注目されることのひとつが、主星(恒星)からの距離がほどよく生命の存在が期待できる「ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)」にあるかどうかです。表面に液体の水が存在し得るハビタブルゾーンに系外惑星が入っていれば、そこでは地球にみられるような生命が誕生しているかもしれませんし、遠い将来に人類が移住する候補地になるかもしれません。

とはいえ、ハビタブルゾーンにさえ入っていればどんな系外惑星でも生命に適しているのかといえば、そうとも限りません。主星が活動の激しいM型の恒星であれば、強力なフレアによって大気が剥ぎ取られてしまったり、表面が強い放射線にさらされたりするかもしれないため、主星の活動レベルも重要な指標となります。

今回Arnscheidt氏らの研究チームは、系外惑星の質量によって居住可能性が左右されるかどうかを調査しました。天体の表面において水が液体の状態を保つ条件のひとつに大気の存在が挙げられますが、その大気を重力で保持するには、天体にある程度の質量が必要となります。小さすぎる系外惑星では大気が保持できず、たとえ条件の良い主星のもとでハビタブルゾーンを公転していたとしても、表面に液体の水が存在しないかもしれないのです。

■下限の質量は「地球のおよそ2.7パーセント」

研究の結果、液体の水を維持できるだけの大気を持つには、天体の質量が地球のおよそ2.7パーセント以上でなければならないことが判明しました。これ以上小さな天体ではじゅうぶんな大気を保持できないため、表面の水は凍りついてしまうか、あるいは蒸発して失われてしまうとされています。

太陽系の天体を例に見てみると、火星(地球質量の10.7パーセント)はこの条件をクリアしていますが、地球の月(同1.2パーセント)や木星の衛星ガニメデ(同2.5パーセント)は下限の質量を下回っています。たとえ豊富な水が存在していてハビタブルゾーンに位置していたとしても、地球の重さの2.7パーセント以下の系外惑星では表面に液体の水の存在は期待できず、地球型の生命の存続には適さないことになります。

サイズによる居住可能性を解説したイラスト。下限は地球質量のおよそ2.7パーセント(中央)で、これよりも軽いガニメデ(右から2番目)や地球の月(右端)には生命の居住可能性がない(Credit: Harvard SEAS)

■ハビタブルゾーンより内側でも液体の水が存在するかも?

また、ハビタブルゾーンよりも内側にある惑星や衛星は主星に近すぎるため、大気があっても温室効果によって表面に液体の水は存在できないとされています。しかし今回の研究では、質量の小さな惑星では大気が膨張することで熱の収支バランスが保たれるため、ハビタブルゾーンより内側にあっても温室効果の暴走が起きない場合があるとされています。

つまり、ハビタブルゾーンより内側にある系外惑星(あるいは系外衛星)でも、その質量が小さければ、主星からの距離によっては表面に液体の水が保持されている可能性があるというのです。

生命の居住可能性が質量に左右されることを明らかにしつつ、ハビタブルゾーンの制限が一部緩和される可能性も示した今回の研究成果。観測手法の制約によって小さな系外惑星はまだあまり発見されていませんが、系外惑星における生命探査に新たな指針をもたらすことになるかもしれません。

 

Image Credit: Harvard SEAS
https://www.seas.harvard.edu/news/2019/09/goldilocks-zone-for-planet-size
文/松村武宏

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