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やはり巨大衝突の痕跡か。300光年先の温かい塵をNASAの成層圏天文台が観測

sorae.jp / 2019年10月24日 21時20分

誕生から10億年以上が経っている恒星の周囲に、なぜかまだ温かい塵の円盤がある……。ボーイング747を改造したNASAの成層圏天文台「SOFIA」による観測の結果、この塵が太陽系外惑星どうしの巨大衝突によってもたらされた可能性がさらに高まりました。

■塵の円盤からの赤外線放射が10年間で10パーセントも増加

連星「BD +20 307」(右奥)の周りで生じたとされる、系外惑星どうしの巨大衝突の想像図(Credit: NASA/SOFIA/Lynette Cook)

観測されたのは「おひつじ座」の方向、地球からおよそ300光年先にある連星「BD +20 307」です。BD +20 307には太陽に似た2つの恒星があり、約3.4日という短い周期で互いに公転しあっています。

年齢が10億歳以上になるとみられるBD +20 307には、連星から1天文単位(太陽から地球までの距離に相当)以内の範囲に温かい塵の円盤が存在していることが知られています。10億年も経つと恒星から離れたところにしか塵が残らず、温度も摂氏マイナス170度程度にまで冷えるとされていますが、なぜかここでは恒星のすぐ近くに、それも温度の高い塵が大量に存在しているのです。

その理由として考えられているのが、太陽系外惑星どうしの巨大衝突です。宇宙のスケールでみれば比較的最近、場合によっては数万年以内に岩石質の系外惑星どうしが衝突し、破片から大量の塵が生成されたというのです。

NASAが10月22日付で発表した研究内容によると、塵の円盤から発せられる赤外線がここ10年ほどの間に10パーセントも明るくなっていたといいます。原因として「塵が恒星から放射される熱をより多く吸収(そして放出)するようになった」あるいは「塵が今までよりもっと恒星に近付いた」などが挙げられていますが、10年で明るさを10パーセントも増やすには、もっと劇的な変化が必要なようです。

■塵が増えたのは新たな衝突が原因?

NASAの成層圏天文台「SOFIA」(Credit: NASA Photo)

カリフォルニア大学サンタクルーズ校のMaggie Thompson氏をはじめとする研究チームは、論文のなかで「塵そのものの量が大量に増えた」可能性を指摘しています。つまり、最初に高温の円盤が確認されてからSOFIAによる再観測が実施されるまでの間に、新たな天体の衝突によって塵の量が増えていたのではないかというのです。

最初の衝突で生じた大きな破片どうし、あるいは別の系外惑星と大きな破片が衝突するなどして小さな破片や塵が増えれば、短期間で赤外線が明るくなったこともうまく説明できます。これは「高温の塵の円盤が系外惑星どうしの巨大衝突によって形成された」とする考えを補う説でもあります。

ただ、新たな衝突はあくまでも仮説の一つで、まだ立証はされていません。研究チームはSOFIAによる2018年の観測データの分析も進めており、BD +20 307の謎めいた塵の円盤を通して、惑星どうしの巨大衝突や、連星が惑星にもたらす影響を理解しようとしています。

 

Image: NASA/SOFIA/Lynette Cook
Source: NASA
文/松村武宏

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