青と赤のコントラストが美しい。宇宙と地上から撮影された「らせん星雲」
sorae.jp / 2019年12月30日 21時15分
青く淡い輝きを放つ領域と、その周囲をリング状に取り囲むように見える赤く輝く領域のコントラストが印象的なこの天体は、みずがめ座の方向およそ650光年先にある惑星状星雲「NGC 7293」。別名「らせん星雲」または「らせん状星雲」として知られている天体です。
らせん星雲は、超新星爆発を起こすに至らない太陽のような低質量の恒星が赤色巨星から白色矮星へと移行する過程で大量のガスを放出した、その名残とみられています。鮮やかな色は特定の元素と結び付いており、青は酸素、赤は水素や窒素が存在することを示しています。
青と赤の境界付近を拡大すると、彗星のような形をした塊が幾つも見えてきます。塊から伸びる尾の長さはおよそ1000天文単位にも達しており、らせん星雲の中心に対して放射状に伸びる様子は「車輪のスポーク」や「宇宙の花火」とも形容されます。
「ハッブル」宇宙望遠鏡の観測により、彗星のような塊はガスどうしの衝突によって形成された可能性が示されました。最晩年の赤色巨星から放出された高温のガスが、それ以前に放出された低温のガスに衝突した結果、彗星のような形を生み出したとみられています。
地球から見ると満月の半分くらいの大きさに広がっているらせん星雲は、ハッブル宇宙望遠鏡で撮影するには大きく見えすぎる天体です。そのため、これらの画像はハッブル宇宙望遠鏡やキットピーク国立天文台(アリゾナ州)で撮影された複数の画像を合成することで作成されました。
らせん星雲は、イギリスのサー・パトリック・ムーア氏によって1980年代にまとめられた、アマチュア天文家向けの天体カタログ「Caldwell Catalog(カルドウェルカタログ、コールドウェルカタログ)」に「Caldwell 63」として登録されています。
Image Credit: NASA/ESA/NOAO
Source: NASA / 国立天文台
文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
この破線の正体は? ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した銀河の画像に出現
sorae.jp / 2024年4月21日 10時58分
-
優雅に渦巻く“ケンタウルス座”の棒渦巻銀河「NGC 3783」 ハッブル宇宙望遠鏡で撮影
sorae.jp / 2024年4月16日 21時36分
-
これがスターバースト銀河の中心部 ウェッブ宇宙望遠鏡で観測した「M82」
sorae.jp / 2024年4月7日 21時8分
-
“おうし座”で輝く280万歳の若き星 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影
sorae.jp / 2024年3月31日 21時2分
-
大マゼラン雲で輝く宝石箱のような球状星団「NGC 1651」 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影
sorae.jp / 2024年3月29日 21時40分
ランキング
-
1平均月23万円だが…〈初給与〉に心躍る大卒新入社員〈給与明細〉を見て愕然「天引き額が多すぎる!」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月25日 7時15分
-
2ビジネスシーンでの「方言」どう思う? 「標準語にすべき」「方言でも問題ない」意見真っ二つ! マナーコンサルタントの見解は
オトナンサー / 2024年4月25日 7時10分
-
3「健康食品は健康に悪い」という不都合な事実…紅麹サプリ問題で明確になった健康食品の恐ろしいリスク
プレジデントオンライン / 2024年4月25日 9時15分
-
4初期から老眼鏡をかけっぱなしにすると「老眼」が早く進む【一生見える目をつくる】
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年4月25日 9時26分
-
5究極の卵料理「ウフマヨ」が簡単に作れちゃう! 農水省がレシピを伝授
オトナンサー / 2024年4月24日 22時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください