楕円と渦巻のハイブリッド、ソンブレロ銀河に秘められた歴史

sorae.jp / 2020年3月4日 22時41分

ラ・シヤ天文台の望遠鏡によって撮影されたソンブレロ銀河(Credit: ESO/IDA/Danish 1.5 m/R. Gendler and J.-E. Ovaldsen)

【今日の天体紹介:ソンブレロ銀河(M104)】

こちらは、おとめ座の方向およそ3000万光年先にある銀河「M104」。メキシコの帽子ソンブレロに似ていることから名付けられた「ソンブレロ銀河」の呼び名で知られています。銀河全体の質量はおよそ太陽8000億個分で、直径は5万光年ほど。中心部分には太陽の10億倍の質量がある超大質量ブラックホールが存在するとみられています。

地球からは、リング状もしくは渦巻状の円盤を持つソンブレロ銀河の整った姿が真横に近い角度で見えています。肉眼では見えないものの、口径の小さな天体望遠鏡があれば観測できる銀河です。ヨーロッパ南天天文台(ESO)のラ・シヤ天文台にあるデンマークの1.54m望遠鏡によって撮影されたこの画像では、円盤(銀河円盤)を縁取る印象的な暗黒帯がはっきりと捉えられています。

その外見から渦巻銀河の一種と考えられてきたソンブレロ銀河ですが、NASAの宇宙望遠鏡「スピッツァー」(今年1月に運用終了)による赤外線を使った観測によって、楕円銀河のなかに渦巻銀河が収まっているような、ハイブリッドな構造をしていることが明らかになっています。

最新の研究によると、ソンブレロ銀河のハロー(銀河ハロー、銀河の円盤を取り囲む球状の領域)では、金属(ここでは水素やヘリウム以外の元素のこと)の量が少ない「金属欠乏星」よりも、金属量の比較的多い星のほうが予想以上に多く存在することがわかりました。

一般的な銀河のハローでは金属欠乏星が多く見られ、金属量の多い星は円盤部に多く存在しています。研究の結果、ソンブレロ銀河は数十億年前に別の銀河と大規模な衝突・合体を経験しており、その影響でハローにも金属量の多い星が分布するようになった可能性が示されました。

大規模な衝突と合体を経験したとは思えないほど整った姿を見せるソンブレロ銀河ですが、その秘められた歴史が研究によって明らかになりつつあります。

スピッツァーによって撮影されたソンブレロ銀河(疑似カラー)。楕円銀河(淡く広がる青)のなかに渦巻銀河の円盤(赤)が埋め込まれたような構造をしている(Credit: NASA/JPL-Caltech)

 

Image Credit: ESO/IDA/Danish 1.5 m/R. Gendler and J.-E. Ovaldsen
Source: ESO / NASA(1) / NASA(2)
文/松村武宏

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