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宇宙初期のブラックホールは合体を繰り返した末に急成長していた?

sorae.jp / 2020年3月26日 21時12分

宇宙はおよそ138億年前に誕生したとされていますが、それから10億年近くが経ったおよそ130億年前には、すでに太陽の10億倍以上もの質量がある超大質量ブラックホールが存在したとみられています。今回、これほど早い時点で超大質量ブラックホールが誕生し得た理由に迫った研究成果が公開されています。

■数多くのブラックホールや中性子星の合体をきっかけに急成長した可能性

超大質量ブラックホールを描いた想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech)

ブラックホールは主に周囲のガスを取り込むことでより大きな質量へと成長していきますが、そのペースはブラックホールの質量に左右されると考えられています。しかし、初期の宇宙に存在していたとみられる超大質量ブラックホールは本来のペースよりも速く成長した可能性があり、成長の様子を探る研究が進められてきました。

今回、Lumen Boco氏(先端研究国際大学院大学(SISSA)、イタリア)らの研究チームがブラックホール急成長の理由をシミュレーションによって解析したところ、重い恒星の超新星爆発によって誕生した恒星ブラックホール(※)や中性子星の合体が銀河の中心部で繰り返されたことがきっかけとなり、本来のペースを超えて急速に超大質量ブラックホールへと成長した可能性が示されました。

※…恒星質量ブラックホールとも、質量は太陽十個~数十個分ほど。

研究チームによると、初期の銀河で形成された恒星ブラックホールや中性子星は、高密度な星間物質がもたらす力学的摩擦によって減速され、銀河の中心に向かって落ち込むように移動することになるようです。超新星爆発を経てブラックホールや中性子星に進化するような恒星は寿命も短く、急速に星々が形成された初期宇宙の銀河では数多くのブラックホールや中性子星が銀河の中心で合体した可能性があります。

研究の結果、わずか5000万年から1億年ほどの期間があれば、合体によって太陽の1万~10万倍の質量があるブラックホールへと急速に成長できることが明らかになったといいます。質量が増えればブラックホールがガスを取り込んで成長するペースも速まるため、宇宙誕生から8億年後という早い時期に超大質量ブラックホールが存在できた可能性も説明できると研究チームは考えています。

なお、今回の研究成果を検証するために、初期宇宙の銀河で発生したブラックホールや中性子星の合体にともなう重力波を検出することにも研究チームは言及しています。銀河中心のブラックホールが比較的小さなうちの合体は、現在稼働している「LIGO」「Virgo」や、欧州で建設が検討されている次世代の重力波望遠鏡「Einstein Telescope(アインシュタイン望遠鏡)」で検出できる可能性があるようです。また、2034年に打ち上げ予定の宇宙重力波望遠鏡「LISA」を用いれば、成長して質量が大きくなってからの合体も観測できるだろうとしています。

 

Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Source: SISSA
文/松村武宏

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